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意志あるところに道は開ける

第12章 12.


子どもたちの姿が減り、男女の組み合わせが、町の隅のあちらこちらで身を寄せ始めていた。

青みがかったウェーブの黒髪は、日が落ちきったこの時間帯ではわからない、と辺りを見渡す。

次々と消えていく灯籠。

「リカ、」
「うん」

母親だろうか。
手を引かれて立ち上がった彼女に、待って!と走り寄った。

「あっ」
「えと...あのっ石、ありがとう」

侑士を見た母親は、何も言わずに離れて行った。

「そんで、あっ俺ん事、気づいてくれてありがとう」

光らない小石を彼女の手を取って返す。

何を言ったら、と戸惑っていると、うん、と彼女はその石を握った。

「あの、この石、私が持っててもいいですか?」
「え?あ、うん
 元は、自分のやろ」
「ふふ、そうですね」

うん、と俯いていた顔を上げて、笑った。

「リナさんとユウちゃんを助けたあなたが素敵でした。
 お返事、ありがとう。大事にします」

キュ、と小さな石を両手に握り、さよなら、と通り過ぎた。


「っはぁああ」

緊張した。と深く息を吐いた。

「あん子は、もっと緊張したんやろうなぁ」

見えない姿を振り向くと、女の子はつよい、と家に向かって歩き出した。

まだ僅かに祭りの余韻を残す町。

まだ明かりを灯している灯籠がちらほらと見える道。

それが途切れた頃、館までの最後の一直線に入る。

「ん?」

ふと、道の端に何か光っていた。

それは、あの子がくれたものよりもずっと小さな蓄光石。

指先で拾い上げ、木の葉や土を払う。

小さな、小さなその石を月明かりに照らす。


「キレーやなぁ...」


淡く緑に光る石。

混ざりものがあるのか、縁が金色に光っているそれを手の中に握る。


「おかえりなさい」
「ただいま」

ロビーにいた紫陽に、お風呂、侑士が最後よ。と言われ、はーい、と部屋に着替えを取りに行く。

欠片のような蓄光石を、出窓に置く。

ただの石ころであるそれに、うん、と一人、微笑む。

着替えを持って、部屋の明かりを消して、扉を閉めた。

差し込む月明かりが、まっすぐに小さな、小さないしを照らしていた。

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