第12章 12.
日が暮れ、メイン広場に戻った侑士。
カレンは人混みに疲れたようで、レイと少し休んでから来ると言ってベンチに並んで座っていたので、小さな子どもたちを連れて戻った。
「おかえりなさい」
メイン会場で待っていた紫陽に、自分が買ったものや見たものを嬉しそうに話している子どもたち。
「侑士、レイとカレンは...?」
「すぐ来ると思うで」
少し振り返ると、優しく笑う侑士に、そう、と頷いた紫陽。
「侑士は、何を買ったの?」
「えーっと、あっ果物蜜買うた」
「それだけ?」
うん、と言ってポケットの財布を出した侑士。
「侑士、何か落としたわ」
コロ、と転がって足元で止まったそれを拾い上げた紫陽は、あら、と言った。
「蓄光石。懐かしいわね」
「紫陽せんせー、それ、知っとるん?」
「ここの女の子で知らない子はいないわ。
あなた、これ、どうしたの?」
「あっあぁ、うん、えーっとその...」
紫陽にバレたのが決まりが悪く、片腕を擦る侑士。
「ふふ、はい」
その手を取って、落とさないで、と侑士の手に握らせる。
「それは、あなたの魅力に気づいてくれた人がいる証よ」
大切にしてあげて、と微笑む紫陽。
「俺の、魅力...?」
「そうよ」
「なんやろ、それって...」
「気になるなら、聞いてみたら?」
それをくれた人に、と言われ、悩む。
「応えられない思いに感謝してもいいよの。
『自分に気づいてくれてありがとう』と。
すっぽかされるよりは、それを伝えられるだけでも嬉しいと思うわ」
「そう、なんかな」
「私だったらうれしい」
自分の魅力に、気づいてくれた人がいる。
自分を、認めてくれた人がいる。
感謝をしなければ、とは思う。
ぎゅっ、とその石を握り込む。
「せんせー、俺、もうちょっとここにおってええ?」
ええ、と頷く紫陽。
「小さな子たちはそろそろ帰すから、鐘が鳴ったら帰ってきてね」
「わこぅた」
タッ、と駆け出す。
名前も知らない。どこにいるかも分からない。
それでも、これだけは伝えよう、とおとなが増えた町を走り回る。
見つけてくれてありがとう、と。
ここに「いるはずのない自分」を、認めてくれてありがとう、と。
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