第12章 12.
次の日。
夕食と入浴が終わると、既に就寝時間であるはずの小さな子たちが笑顔で外行きの服を着ていた。
「寝らんとええん?」
「侑士くん、何言ってるの?」
「今日はお祭りだよっ」
「『お祭り』...?」
なんやそれ?と首を傾げる。
「今日は『アネモネ祭』だから!」
お祭りだー!と喜ぶ子どもたち。
「『アネモネ祭』...?」
「昔の自惚れた恋人たちが作った、バカみたいな記念日さ」
へっ、と鼻で笑ったのはレイ。
「アネモネが咲く頃は『恋人たちの季節』って言われていてるの」
「ああ、それで告白する日やって遊木はんが...」
「月が無く、二人のことを闇で隠してくれるから、どんなに難しい恋でも叶えてくれるって言い伝えがあるのよ。
思いを告げたい人がいない人やお子ちゃまは、まあ、どんちゃん騒ぎする日よ」
肩をすくめたカレンに、それで、と騒いでいる子どもたちに笑う。
「どうせ石ころ一つももらえねぇお子ちゃまなカレンちゃんは、どんちゃん騒ぎ組でしょうねぇ?」
「なによっレイだってもらってもなければあげてもないくせにっ」
「さあねぇ?どうだかねぇ?」
「え...渡したの?それとも、もらったの...?」
「知らないねぇ」
ねえ!と聞くカレンに、あー、夜が待ち遠しいっ!とニヤニヤしながら言うレイ。
(カレンはレイのことが好きなんやろなぁ)
それに、と不安げな顔のカレンを横目に見ているレイを見る。
(レイもホンマはカレン事が好きなんやけど、仲悪なったらショックやから、言えへんねやろうなぁ)
むつかしいなぁ、と複雑な二人の心を思うと、なんだか応援したくなった。
「なに?侑士」
「なんだよ?」
じっと二人を見ていた侑士は、なんもないで、と首を横に振る。
「お祭り、楽しみやね」
「侑士はこういうの、初めてだもんねっ」
「そうやねん。
ちょっとワクワクする」
私もっ!と笑うカレン。
「っガキはガキで楽しんでろよっ」
俺は寝る、と部屋に帰るレイ。
「行こうや、レイ」
「やだねっ」
「レイ、本当に行かないの?」
振り返ったレイは、侑士とカレンを見た。
「行かねぇよっ
そんなに行きたきゃ二人で行ってこい!
仲良くお手々でも繋いでよっ」
「レイ...」
ふん、と部屋に帰るレイの背に、カレンが寂しそうに溜息をついた。
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