第11章 11.
「っああっ!」
枕を掴んだリナに、紫陽と揃いの術着を着て、三角巾で作ったマスクをした侑士は固唾を飲んだ。
「リナさんっ次、強い痛みが来たら力んでっ」
「っふーっふー、はいっ!ふーっ」
うっ!と力が入ったリナの身体を背後から支える。
「うううっ!」
「じょうず!いい感じっ」
「っ!」
紫陽とそう身長は変わらなさそうなリナからに込められた、信じられないほどの力に身体に押し返されそうになりながら、背中を支える。
「いったん力抜こうか。
深呼吸っすーっ、ふー」
紫陽の指示で呼吸を落ち着けたリナが、背後の侑士を見上げた。
「侑士くん、だっけ?」
「あっはい」
「ありがとう」
「え」
力が入って真っ赤になった顔で、汗だくのリナが笑った。
「紫陽ちゃん、呼んできてくれて...先生の指示、しっかり聞いてて...すごいね、立派なお医者様だ」
「あ...えっと...」
口籠ってしまった侑士にリナが笑った。
「ありがとう、侑士先生」
ふわり、と笑ったリナの顔が一瞬で変わる。
「っ痛い痛いっ!ああっ!」
「リナさんっ力んでっ」
「んんんーっ!」
「そう、そのままもう一回っ」
「んんーっ!」
リナが手に握った木の棒が、ミシッと音を立てる。
「侑士っ!
リナさんの背中を丸めた布団で支えて、広げたバスタオルを腕に掛けてここに立って!」
「はいっ!リナはん、手、離すで」
うんうん、と頷くリナの背中に布団を押し込み、用意されていた真っさらなバスタオルを広げて両手にかけた。
「こうでええ?」
「オッケーよ。ここにいて」
「はい」
「リナさん、もう少ししたらまた痛みの波が来ると思うの。そうしたら力いっぱい力んでっ!」
「わかったぁ!」
叫んだリナに、順調よ!と声をかける紫陽。
「っ来たぁあ痛い痛いっ痛い!」
「力んでっ!赤ちゃん見えてるっ」
見えてるって、と侑士は苦しむリナと彼女の足の間に手を差し出す紫陽を交互に見るしか無かった。
「っああああ!」
「そのままやめないで!力込めてっ」
「うわあああっああっ!」
「赤ちゃん出るよー!」
侑士!と呼ばれ、は、はいっと紫陽の傍らに座ると、受け取って、とタオルの上に載せられた赤ん坊。
紫陽の手でリナと臍で繋がった緒が切られた。