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意志あるところに道は開ける

第11章 11.


先生っ!と少し先でシルキッサの手綱を引いて止めた侑士が振り返る。

「侑士!シルキッサを誰かに預けて、急いで来てっ」
「っはい!」

どうどう、と、シルキッサを落ち着けて降りると、町の旅宿の主人が、見ていようか?と声をかけてくれた。

「リナちゃんとこだろう?
 はやく行きなっ」

いい子だ、とそわそわしているシルキッサをなだめる手つきと声色に、馬に慣れている、と感じ、お願いしますっ!と彼に託した。


「っ侑士っお前、よくやった!」

リツの家に入ると、リツの父親に抱きしめられた。

「侑士っ!」

扉が明け放たれた奥の部屋で呼ぶ紫陽に、離して、とリツの父親の腕の中で藻掻く。

「センリさんっ!侑士を離してっ
 侑士っ!うちに戻って私の手術着と予備を一枚っ。
 手術室から縫合に使う機材一式と鉗子を持ってきて!」
「消毒液はっ?」
「ヨードだけでいい!機材は煮沸にする!」
「わこたっ」
「センリさんっ!一番大きな鍋にありったけの水を汲んで、グラグラに煮てください」
「っ俺かっ?俺だなっ!?」

鍋、鍋、とそのあたりの床を見る父に、父ちゃん!とリツが叫んだ。

「キッチン!鍋はキッチンだよっ」
「え?あっああ、そうだ!」
「しっかりしてくれよっ」

キッチンに走るリツの父。

「葵さん、いる?」
「はい、ここに」
「生まれる子どもの産湯と清潔なタオルの用意をお願いします。急ぎません。」
「わかりました。
 リツさん、浴室に案内してもらえますか?それと、広く浅い湯を入れられる木桶が欲しいのですが...」

こっち、と葵を案内しながら、木桶...木桶...とリツは考えた。

葵が閉めた扉がバタン!と開き、先生っ!と荷物を抱えた侑士が駆け込んできた。

「侑士っ早かったわね」
「シルキッサが飛ばしてくれたんや」

これでええんかな、と侑士が広げた荷物を確認する。

「ばっちり!さすがだわ。
 術着とヨードは?」
「割れたらあかんと思うて」
腹部に抱え込んでいた未開封の遮光瓶は、2枚の手術着に包まれていた。
「すまん、診察室のやつがほんまにちょっとしかなくて、薬品棚のやつ持ってきてん」
「大正解よっ」

よくできました!と俯く侑士の頭を撫で、手術着に腕を通した。

「侑士、着て」
「え?」

それ!と予備だと言った手術着を指す紫陽に、ええっ!?と叫んだ。
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