第11章 11.
紫陽は、贔屓の薬品屋に大きな荷物を預け、みんなへのお土産を選んでいた。
「あとは、侑士にだけど...」
困ったわ、と店を見ながら悩む。
(本は、新しいのはいらないと言うし、万年筆のインクは自分で買っているようだし...洋服も足りてると言っていた...)
なにか侑士が喜びそうなもの...と店を見て回る。
通りの先の広場で、軽やかな音楽に合わせて踊る踊り子。
高らかな声で楽器をかき鳴らしながら歌う流し。
キーッ!という錆びたブレーキ音を立てた自転車。
それを運転していた侑士と変わらない年頃の青年が、後ろに立ち乗る女の子と笑いながら坂道を下っていく。
街の明るい雰囲気に、いつか侑士も溶け込めたらいいのだけれど、と思う。
アクセサリーや雑貨、民芸品が並ぶ露店。
天然石のビーズを使ったブレスレットや髪飾りがたくさん輝いていた。
(そう言えば、侑士、髪が伸びてきていたわね)
一度、切ることを提案してみたが、刃物が怖い、と乗り気でなかった。
店頭で、職人らしき高齢の男性が様々な糸で飾り紐を組んでいた。
「すみません、髪結い用の紐が欲しいのですが...」
「髪結い用なら、その辺りだな。
好みがあるってんなら、ここから糸を選びな。組んでやるよ」
「糸を選んでも?」
ああ、と作業に戻った男性の足元の籠に詰められた糸を手に取る。
(侑士に似合いそうな色...)
濃淡のある青を基調にいくつか選んだ。
「ビーズはつけるかい?」
石や貝、木や木の実でできた、籠いっぱいのビーズをジャラッ!と見せてくれた。
どれが合うかな、と組まれていく糸に合いそうなものを探す。
「きれい」
指先でつまみ上げたそれは、光にキラキラと光った。
(侑士に似合いそう)
「そりゃオパールって言ってな。
南のある地方では、それを持ってると才能が開花し、その人の魅力が増して、幸運が訪れると言われている。
男女年齢問わず使えるから、おすすめだよ」
「左右に、これ、つけてくださいっ」
店主が籠から選んだいくつかから4つ選び、両端に2つずつつけてもらった。
「おまけだよ」
「え?いいんですか?」
「旦那にやるんだろう?それ」
編んでもらった紐を指す店主。
「あっいえ、そういうわけじゃ...
男性ではありますけど」
持ってきな、という店主から二本を受け取った。