第10章 10.
「侑士!」
揺すられる身体に、んん?と目を覚ました。
「起きて、侑士。風邪を引くわ」
ん、と目を開くと、薄暗い中、ランプの明かりを持った紫陽の顔がぼんやりと見える。
「侑士っねえ、侑士ったら」
んん~!と寝固まった体を伸ばす。
「あなた、なんてところで寝てるのよ」
驚いているような呆れているような声の紫陽。
「ん...シルキッサは?」
どこ?と目を擦ると、頬に触れる温かな体温。
頬を擦り寄せてくる感触に、シルキッサや、と頬ずりする。
「隨分仲良くなったのね」
「めっちゃいい子やで。
ここも、シルキッサが教えてくれたん」
おおきにねぇ、と頬を掻くように撫でてやる。
「侑士、あなた、夜、寝れている?」
擦り寄ってくるシルキッサを撫でながら、ンー?と考える。
「たまに、夜中、目が覚めるなぁ」
「そのあと、すぐに眠れる?」
「あー...寝られへん日もあるけど、そないな日は、本読んだりしてるなぁ」
「次の日、辛くない?」
「まあ、昼間めっちゃ眠い日もあるけど...」
(不眠気味みたいね)
特にそれを気にしている様子が無い侑士。
「それが、どないかしたん?」
よしよし、とシルキッサの顔を撫でながら聞く侑士。
「いえ?
もしかしたら、部屋が寒いのかもしれないから、寝る前に温かいミルクを飲んで、毛布を一枚増やして寝るといいかもしれないわ」
「あっ、あったかいと眠くなるんやね」
ここおってわかったわ、と笑う侑士。
「シルキッサがおったら、もっとあったかいわなぁ」
「...部屋が牧草の匂いになるわよ」
「それはちょっと嫌や...っ!」
強く眉間を侑士に突きつけたシルキッサ。
「スマンてっそんな怒らんとって」
頭や首を喰むシルキッサに、やめぇやぁ、と笑いながら距離を取ろうとする侑士。
「なんや、なんかの本に、そないして牧草ん中で寝とった女ん子が、ウシに脚舐められて飛び起きるっちゅうんがあったなぁ」
どの本やったかなぁ、とシルキッサを撫でながら微笑む侑士。
紫陽の記憶には、そのような描写がある本が図書館にあった記憶は無く、(私が忘れただけかしら?)と、幼少期からすべての本を読んできた自分でも忘れることはあるだろうと、大きなあくびをした侑士に微笑みをこぼした。
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