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意志あるところに道は開ける

第9章 9.


「侑士がいた世界では、親と子が似る原因は、『血』そのものというよりは、この『DNA』と言うものにあると考えていたようね」
「紫陽先生たちは、違うん?」
「えーっと...侑士は、雌と雄がいる動物、我々人間も含めてね。生き物がどうやって繁殖するのかは把握してる?」
「セックスする」
「はい、その通り。
 性交渉は、必ずしも男女で行われるものではないのだけれど、妊娠は、男女の組み合わせで行わないと成立しないというのはわかる?」
「...そういやなんでやろ?」

はて?と考える。

「男女では先ず、体のつくりが違って、男性には子を宿すための器官が無いの」
子宮というのだけれど、と、簡易的なヒトの女の図を描く。
「そのかわり、子となるもと、言わば『種』を持っているわ。
それを作っているのが精巣」

隣に人の男の図を描いた。

「正確に言うなら、精巣はその奥の玉の方で精嚢は陰茎の付け根辺り」
「んー、でも入れるんはちんちんやろ」
「精液を作るところと、作られたそれを溜めるところとあるの」
「...?」

何かわかりやすく、と考え、水溶薬用のスポイトを手にした。

「このスポイトが陰茎、おちんちん。
 中にこれと同じように、管があって、その先、体の中に精嚢があってそのまま奥に精巣がある」
スポイトの先のゴムを示す。
「繋がっとる、ってこと?」
「そうです」
グラスに水を汲んできて、少し、スポイトで吸い上げる。

「性的刺激により、精巣で作られ、精嚢に溜まった精子がペニスの中の尿道を通って外部に出る。それが射精」

ゴムを押してわずかに水を出すと、ああ、と頷く。

「そうして吐き出された精液の中には精子があって、それが女性の体の中の卵管と呼ばれる所に入り、体内の卵子、卵と結合することで妊娠となる」
「...男が男ん中に出しても、卵が無いから妊娠せぇへん?」
「卵もだし、男性には子どもを宿す子宮も無い」
「なるほどなぁ」
「侑士のノートを見る限りだと、ある病気について、それは親から受け継いで発症する可能性が高い、ということを学んでいたんだと思うの。
 それが、男親から継がれているのか女親から継がれているのか、というのを調べてたみたいね」
「...え?ん?
 俺、それ、理解しとったんかな...?」

頭こんがらかってきた、と侑士は頭を抱え、むー、と顔を顰めた。

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