第8章 8.
紫陽はんから受け取った財布らしきもんから、ジャラッ、とコインをテーブルに出してみる。コインのほかに、紙のお金らしきものと、みんなおんなじサイズのカードが入っとった。
「お金、ぽいなぁ?」
「どんな価値のものなのか、見当はつくかい?」
「んー...これは『1』やろ。
こっちは、『10』と『100』て書いてあるなぁ」
「侑士君、このお金で、何が買えそうだと思う?」
ヤナー先生の問いになにか、と考えてみる。
「うーん...
すんません、見当もつかへん」
「謝ることはないよ。
お金以外のもので、用途がわかりそうな物はある?」
カードの文字は、紫陽はんに習う言語とは全く異なるもんで、変わった形の文字らしきもん。
「この字、こっちにもある...」
2枚折りんカードん裏に、印字のように記された難しい文字と、硬質な素材んカードん裏に手書きで書かれた同じ文字。
「この4文字は、俺の名前やんな...?」
「そうね。
読み方は、『ゆうし』であっていたようね」
ほら、と紫陽はんが指さしたカードには『OSHITARI YUUSHI』と金で立体的に書かれとった。
「上の数字は、なんだろうね」
ヤナー先生が指す4桁が4つ並んだそれに、さあ?と首を傾げる。
裏には細かな事やマークが描かれとったけど、それらが意味するもんは不明やった。
「このカードには、写真があるわ」
おんなしサイズのカードは幾つかあって、それらがちょうどぴったり入る、財布とは別ん色の革でできたケースに数枚入っとった。
「病院関係のものにも見えますね」
これ、と紫陽はんが指さしたもんには、写真が無く記名のみで、端にマークが描かれとった。
「これ、『病院』って意味なん?」
「黄地に白と黒なら『戦場病院』、横が無く黄色地に縦に黒一本なら『診療所及び療養所』と我々は使い分けているね」
「近いと言えば近いのかしら?」
「あ、うちん山ん道にあったあの黄色い旗、そういう意味やったん?」
市街地から外れ、山にはいる道から館までの路肩にポツポツある旗。
「そうよ。
この山は割と深いから迷ってしまう人も多くて。
目印として、館に通じる道には等間隔で立てているの」
(黄色に黒の方が病院っぽいなぁ)
なして白と赤?と、侑士はカードの白十字に首を傾げた。
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