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意志あるところに道は開ける

第7章 7.


その日は、朝から騒がしかった。

「しょうせんせー、変じゃない?」
「うん。かわいいわ」
「しょう先生、これ、持って行ってもいい?」
「うーん、落として無くしてしまうかもしれないから、お留守番にしておきましょう」

いつも動きやすい服装の紫陽は、今日はワインレッドのワンピースを着ていた。

「紫陽はん、」
はーい、と振り向くと、ロビーの入り口で顔だけ覗かせている侑士がいた。
「えっ、と」
キョロキョロと視線を泳がせる侑士。

「着替えられた?」
「う、うん。せやけど...」

モジモジと出てこない侑士に気づいた子どもたちが、出てきなよー、と手を引いた。

腕を引かれて出てきた侑士は、えっと、と片手で片腕をさすった。

いつもは、綿のシャツに柔らかい生地のボトムばかり着ている侑士。

「どう、やろ...?」
変ちゃう?と眉尻を下げる。

スタンドアップカラーの白いリネンシャツにシルエットのゆるいコットンのボトム。

「キュってしとるの、ちょっと落ち着かへん...」
「ここは開けててもいいわよ」

台襟ボタンまで留めている首元を落ち着きなく触る。
一つ、首元のボタンを外してやると、こっちんが楽や、と笑った。

「しょうせんせー、髪、結ってー」
ふわふわとした癖っ毛のユリが、ちょこんと椅子に座る。
「2つ結びでいい?」
「うん!」
耳のした辺りで左右に分けて結ぶ。

「ありがとう!」
「はい、どういたしまして」
嬉しそうに笑ったユリ。

肩につく髪を触る侑士に気付いた紫陽は、声をかけた。

「侑士も結ぶ?」
「えーっと」
チラ、とユリを見た侑士。
「ふふ、侑士は男の子だから、低いところで一つに結びましょうか」

座って、と言われて、椅子に腰掛けると、髪に櫛を通される。

「侑士の髪は、猫っ毛ね」
「ネコって『ニャ~』のネコ?」
「そう。細くて、ふわふわしてるわ」

確かに、たまに畑に来て日向ぼっこをしているネコは、撫でると、ふわふわしていて温かいな、と思う。

「俯くと落ちてくる髪を結んでおくわね」

碧みのある侑士の黒髪に、紫陽は丁寧に櫛を通した。

「うん、上手に洗えてるわ」

表皮の怪我がほとんど治り、一人で入浴できるようになった侑士は、うん、と言った。

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