第5章 5.
みんなが集まった食堂で、いーでーすかー?と紫陽が手を叩いた。
「「「「いーでーすよー」」」」
それまでざわざわとしていた子どもたちの声が揃うと、ピタリと話をやめて一斉に紫陽を見た。
「今日は見ての通り、外は雨です。
お魚釣りや畑作業はー?」
「「「できなーい」」」
「だから、今日の『おしごと』の時間は、お兄さん、お姉さん、小さいさん関係無く、みんなで何かしたいと思うんだけど、何かいいと思う?」
朝食後、子どもたちは、読み書きやそろばんの『べんきょう』をする。
ある程度の年齢である侑士たちは、『べんきょう』の他に、技巧、裁縫など、それぞれに合わせた『おしごと』もやる。
天気が悪い日は、『おしごと』の一つの畑仕事ができないので、『おしごと』はお休みになり、みんなで話し合ってなにをするかを決めるのがここの約束だった。
「プール?」
「雨だからできないよ!」
「あ、そっか」
「トランプ!」
「かくれんぼは?」
「料理!」
「そう言えば、空木さんが『侑士さんは料理が上手ですよ』って言ってた」
そうなの?と向けられた視線に、注目された侑士は、ええっと、と戸惑った。
「嫌いちゃうよ。楽しいで、料理」
「じゃあ、料理!」
なに作るー?と献立会議が始まった。
「今日はお料理、されますか?」
食堂の隣の調理場から空木が顔を出した。
「ちょうどいい。侑士君、来てくれますか?」
俺?と自身を指さし、手招きする空木のもとへ行く。
奥の食物庫に向かうと、持ってください、と大きな袋を渡された。
「っ嘘やろっ!」
「20kgあります。
破らないでくださいね、貴重な強力粉ですから」
そう言って、同じものを2袋、両肩に抱え上げて、スタスタと戻る空木。
「無理やってー!」
「やる前に無理と言ってはいけません」
「体育教師ちゃうんやからっ!」
袋を抱え上げきれない侑士に、仕方ないですねぇ、と言って、背後に回る。
「うげっ」
「おんぶの要領です。
子供たちとそうかわりませんよ」
行きましょう、とやはり2袋を担ぐ空木を、バケモンやっ、と20kgの小麦粉を背負って、ふらつく足元で追いかけた。
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