第4章 4.
それって、と紫陽は、水を飲む。
「たぶん、きつねうどんじゃないかしら」
「『きつねうどん』...」
「侑士さんがここに来られて少しした頃、消化に良いうどんをお出ししましたね
じゅわっとした四角いやつ...確かに『きつね』かも。侑士さんが西の方の出身なら、可能性は高いです」
西国風のうどんですか、と空木は考えた。
「西国風なら昆布出汁ですかね
よしっ!近く、『きつねうどん』作ってみましょう」
侑士さんが食べていた味に近くできるかわかりませんが、と言う。
「小麦もまだありますから、うどんから打ちましょう」
「いいわね、楽しそう」
「せっかくですから、皆さんで作りましょう」
「お料理、するの?」
「小麦粉と水を練って、麺を作るんですよ」
めんめん好き、と小さな女の子が笑う。
「近日、うどんパーティね」
焼きうどんもいいわね、と紫陽が言った。
✜
食後。
「白ぉて、長ぁて...つゆ?がある」
屋敷には広い「図書室」があり、子どもたちも自由に出入りできるようになっていた。
わからないことは、まずはココから見てみて。
使い方に迷ったら、いつでも聞いていいから
紫陽に教えてもらった本棚にあった「世界のたべもの」という絵が付いた本をめくる。
「あった。これや」
丸い、深い椀に盛られたそれ。
「そぉや。こないなやつやった。
『うどん』て言うてたなぁ」
ほお、と写真を食い入るように見つめる。
書かれている文字はよく分からないが、おいしそう、と思った。
うどんの作り方も書いてあるようだったが、読めない。
しばらく睨んで、無理や、と項垂れる。
「紫陽はんに読んでもらお」
せめて読めれば、と写真以外の形の羅列を指でなぞる。
(これが読めれば、紫陽はんの役に、立てへんかな...)
パラパラ、と本を捲る。
「ん?」
様々な写真が載っている本。
少し戻って大きく開く。
「知っとる...」
そこには、まんまるのものが船のような器に盛られたものや、白い平たい皿に、薄く真ん丸で茶色のものがかかっていた。
その2つを、絶対に知っている、と食い入るように見た。
-ゆうちゃんの方がおおきいっ!-
-そぉか?ほな、交換する?-
-ええのっ!?-
明るい声が誰なのか、知らない
✜