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意志あるところに道は開ける

第3章 3.



(むっちゃ気持ちいい)

程よい力加減でワシャワシャと髪の毛を揉み洗う手。

「もう2回くらいは洗わなきゃね」
そう言って笑う彼女を見上げる。

「っ」
「あ、泡が入ったのね
 こすっちゃダメよ」

痛む目をギュッと瞑る。

「顔をこっちに向けて」

目を閉じたまま声の方を向くと、目元を優しく包むのは温かく柔らかい生地。
優しく拭われ、目を開けられる?と聞かれて、そっと目を開けた。

「痛む?」
「っ!」

心配そうに覗き込む顔。
ドキリ、として、イエ、と口ごもりながら、何も身を隠するものが無いことに気づき、体を小さくした。

「もう一度髪を洗うから、また、ここに頭を預けられる?」
「はい、」

同じ体勢に戻ると、また泡が入るといけないから、と目元に柔らかなガーゼを当てられた。
目隠しのようなソレに、一瞬、心臓がキュッとなったが、清潔な匂いと締め付けのない感触は安心した。


濡れ髪を包み込む泡のいい香り。

温かな室内に充満していく香りに、呼吸が深く、ゆっくりになっていく。

「次は、髪に栄養を与えてくれるものをつけるわね」
「...はい」

今度は泡では無い、ヌルヌルとしたものが髪につく。

(っこれ、好きちゃうなぁ)

なぜだろうか。
柔らかい軟膏のようなそれは、いい香りなのに、腰のあたりがゾワゾワした。

すぐに洗い流されたことに、ホッ、と安堵する。

優しく絞られた髪。

軽くなったように感じる頭皮を柔らかいタオルでワシャワシャと拭かれることは、気持ちよかった。

「耳の水を拭き取るわね」

そっと耳孔に入ってきたガーゼ越しの指に、ん、と体を捩らせる。

「くすぐったいわね。
 もう終わりよ、安心して」

ゆっくりと頭を起こし、背後の彼女を振り返る。

「あの、ありがとう、ございます」
「どうしたしまして」

腕まくりをした指先で湯に触れると、少し冷めたわね、と熱い湯を足した。


「しっかり体を温めてから出てくるのよ」
「はい」

パラ、と額に垂れた髪を、彼女の細い指が払う。

「きちんとすれば、あなたは綺麗よ」

自信を持って、と微笑んだ。

「タオルを置いておくから、それで体と髪を拭いてね。
 着替えもあるから、下着と服を着てから出てきて」
「わかり、ました」

ゆっくりしていいからね、と浴室を出ていった彼女をいつまでも見つめていた。

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