第21章 21.
数日後。
診療所を休みにし、紫陽と共に子どもたちと町の広場に来ていた侑士。
いつものように、紫陽を先頭に並ぶ子どもたちの最後尾からついて行っていると、侑士!と呼ばれた。
駆け寄ってきたひのはは、いつもの長いスカートのワンピースでは無く、動きやすそうな襟付きのシャツを着ていた。
「今からテニスをするのっ
もしよかったら、見にいらっしゃない?」
「あー...」
少し離れた先に、紫陽を先頭とした子どもたちの列を見る。
脚を止めた紫陽が振り返り、子どもたちに何か言いかけて、一人、離れている侑士に気付いた。
「そうだわっ!
皆さんもいらしたら?
ギャラリーが増えれば盛り上がりますものっ!」
ドクター!と紫陽たちに向かって駆けていくひのはが抱えるラケットを視線で追う。
(やっぱあれ、どっかで見た気ぃする...)
わっ!と上がった歓声に、紫陽は快諾したのか、とゆっくりとした足取りでそちらに向かう。
「侑士先生は、どうします?行きます?」
広場に行く気だった侑士は、紫陽からの問いに、え?と固まった。
「行かん方が、ええですか...?」
「え?あ、そうじゃなく...
あまり人が多い所は、好まれないものだと...」
ひのはが「ギャラリーが増えれば」と言ったので、ある程度の人は集まるのだろうと考えた紫陽は、診察以外では、まだあまり見知らぬ人との交流に積極的で無い侑士は、嫌がるだろうと思った。
「...行って、みよかな、と」
「っ行きましょう!ぜひ」
嬉しそうな紫陽に頷き、子どもたちの先頭で、意気揚々としているひのはが、行きますわよー!と号令をかけると、おー!と子どもたちの明るい声がした。
(テニス...おもろいんかなぁ?)
詳しくは分からないが、なんとなく、楽しそうだ、と感じて、気分が晴れやかだった。
✜