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意志あるところに道は開ける

第18章 18.



アンリの白い手をじっと見る紫陽せんせー。

「小麦粘土...」
「アンリには、伝えずに触らしたんです。
 鼻から吸うとか、口から飲みこむとかせんかったら、痒なったりせぇへんようです。
 少しでも小麦があると、て言うてたけど、アンリ自身がそれが小麦だと認識してへんかったら、拒否反応は出らへんのやないでしょうか」
「なるほど」
「それと、アンリは『アレルギー性鼻炎』も疑われます。
 くしゃみなんかは、小麦が原因や言うよりも、微粒の埃や粉末による症状で、食物庫で悪化する原因は、粉類が多く保管されていることと『小麦はあかん』言う、心因的なものもあったんやないでしょうか?」

侑士が差し出したカルテを見る紫陽せんせー。

「アンリの場合、ほんまに小麦アレルギーなんかちゃんと経口試験するべきやと思います。他のもんに関しても、アレルゲン除去することだけでなく、経口負荷をして再度検証し、物によって、極少量から身体を慣らしいけば、克服できるものかあると自分は考えます」
「え?パンとか食べれるの?」
「少しずつやけどね」

それと、と侑士は続ける。

「鶏卵に関しては、アレルギーの可能性は高いので、鶉や家鴨など代替できるかも含め、アンリのアレルギーに関して、もっと深く、慎重に検証したいです」
「アンリが許可するのなら私は構わないけれど」

紫陽の言葉は、侑士を医師として認めていることを含んでいた。

「これは、俺の憶測ですけど、アンリのアレルギー反応には、思い込みから症状が出ている可能性があります」
「思い込み?」
「身体に拒絶する理由がある訳やなく、口にして痒なったりした物があるという経験により『コレも同じようになるんじゃないか』という心理が働いて、ホンマは身体は受け入れるんやけど、その気持ちが勝って、アレルギーのような反応が出とる、いう可能性です」

トラウマに近い、と聞いた紫陽は、カルテを置いて侑士を見た。

「何か、そういった文献を読んだの?」
「え?いや、そういう可能性もゼロちゃうなぁいう、私見です」

やっぱあかんですか?と眉尻を下げる侑士に、いいえ、と紫陽は首を横に振った。

「経口負荷の是非はアンリの同意に委ねます」

これはあなたの研究よ、と紫陽は、侑士へとカルテを返した。

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