第17章 17.
起床時間後。
少しすると、眠そうに目をこすりながら、おはようございまーす、と起きてくる子どもたち。
「今日はお魚なのね」
おいしそう、とカレンが言った。
「カレン、パンにする?ごはん?」
一緒に食堂に来たレイが、2つのグラスに水を注ぎながら聞く。
「サンドイッチにしたいから、パンにする」
「焼く?」
「うんっ」
サンドイッチなら薄切りだな、とレイは、長机にある一斤の食パンを薄めに切り分けた。
「侑士さん、食事摂られてくださいね」
小さな子どもたちの配膳を手伝ってやっていた侑士は、空木から汁物の椀を受け取り、席についた。
「いただきます」
館の人たちと一緒に食堂で食事をするようになり、食事が楽しくなった。
同じものを食べ、「おいしい」「少し苦手」「大好き」など味の好みを知ると、その人のバックグラウンドが見える時があった。
例えば、カレンはある特定の香草が苦手だ。
ここに来る前。彼女は家族といたが、生活の場は家畜小屋で、禄な食事にありつけず、ずっと牛や豚に与えられる牧草等を盗み食っていたという。
ユリは、キノコと果物が食べられない。
3つを前に、口減らしで山に捨てられた彼女が山菜や果物を可食植物か毒性植物か見分けられるはずが無く、毒キノコを口にしてしまったことがあった。まだ小さく、木になった木の実を得ることは難しく、熟しきって腐敗に近い状態で地に落ちた果物を食べてお腹を痛くしたこともあり、この2つはどんなに新鮮なものが用意されても、怖いそうだ。
ふと、侑士は食堂の入り口にいる影に気づいた。
(あの子は...)
アンリだった。
侑士の少しあとに来たアンリは、みんなとはまた違った特殊な事情があった。
彼は、家族や両親との交流があり、時たま、妹を連れて両親が会いに来る。
そんなアンリは、いつもマスクをしていて、端っこでおとなしくしている子だった。まるで存在しないかのように。
(食べへんのかな?)
ずっと入り口から動かないアンリの視線は、入り口のすぐそばで朝食を食べているカレンたちに向いていた。
おいしそうにサンドイッチを食べているカレンを睨むように見ている。
侑士は思い出した。
アンリには、食べると顔が赤くなって、息ができなくなってしまう物があった。
(そうや、アレルギー...)
急いで朝食を済ませ、盆を一枚、用意した。
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