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意志あるところに道は開ける

第2章 2.


皿から綺麗に最後まですくい取られた一匙を食べると、ふう、と溜め息が出た。

「少し形があるものも、食べられそう?」

ガラスの器に乗せられた、つやつやとした真っ赤な実。

スープに使ったのとは別の小さなスプーンですくって差し出してくれた。

小さなそれを口に含むと、ブルッ!と身体が震えた。

「酸っぱかったかしら?」

口を抑え、フルフルと頭を振る。

酸味は僅かしか無い。
ただ、あまりに、甘い。

(コレッ...!)

あれだ。
この甘さは、飲み込んではいけない、あれだ。

「大丈夫?」
不安げにする彼女に、飲み込まなければっ、と無理やり口の奥にやる。

「っぁあ、」
「もしかして、味が濃かった?」

どう?と聞かれ、慌てて頭を横に振った。

「まだ、入る?」

差し出された匙に、考える隙もなく、ブルブルと頭を振った。

「胃が小さくなってるのね」

ゆっくりと慣らしましょう、と皿に匙を置いた。

椅子から立ち上がった彼女に、首元のナプキンを取られ、手を引かれて立ち上がる。

部屋を出た彼女について行きながら、ああ、と俯く。

折檻か、拷問か。

あの『甘いもの』を口にしたということは、きつい仕置きが待っているのが日常だった。

吊るされてムチで打たれるか、凍えるように冷たい水に頭を沈められ、気を失えば、焼けた鉄を押し付けられて、気を取り戻しては同じ事を繰り返されるか。
または、全裸で冷たい床を這いつくばりながら、無理やり与えられる性的苦痛に喘げと頭を蹴飛ばされるか。

「入って」

扉を押さえる彼女の前を恐る恐る通って入った部屋。

パチ、とついた優しい光のもとには、贅沢な布団が乗った大きなベッドと立派な机にクッション付きの椅子。

部屋の中に入った彼女は、ベッドの布団を捲り、枕とクッションの位置を整えると、来なさい、とシーツを叩いた。

「服は脱がない。
 そのまま、ここに乗って、ごろりと寝て」

服にかけた手を離し、そろそろと近づく。

「し、失礼、いたします」

ベッドの脇で一礼し、恐る恐るシーツに乗ると、しっかりとしたスプリングと柔らかなクッションに、少しふらついた。

「ここに頭を乗せて、楽な体勢で横になって。
 そう。
 体の力を抜いて、痛みや違和感の無い体勢になるの」

少し高い所に頭を乗せ、頬の下に掌を置いて寝転ぶと、瞼が重くなった。

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