第15章 15.
街を、人を観察していると、なんとなく分かってきた。
白か薄茶のマントを羽織り、裸足でいる男は『色売り』だ。
店で飲み食いしている女たちと同じような格好をしていても、爪を黒く染めている女も、見ていると、酒場の男から金を受け取ると、人気の無い所へと二人で消えていく。
喧騒の中で、細い路地の入口で耳を澄ませると、アッアッ、と引きつったような女の湿った声が、そこら中から聞こえた。
陽気な酔っ払いのように、頬や顔全体を化粧で赤くしている女のほとんどはスリだった。
「飲んでるー?ここ、いいかしらぁ?」と一人、若しくは二人、すでに酔いが回っている者を見つけては、これでもかと身を寄せながらベラベラと話しかけて、カバンやポケットの金品を取っている。
酔って道端で座り込んでいる女に近づくのは、人攫いだ。
あ、と手を伸ばしかけたが、見て見ぬふりをした。
身につけているものを物色すると、その身を肩に担ぎ上げ、闇夜に消えて行った。
「あ、あっあの」
気付けば、隣に女の子がいた。
レイやカレンよりも幼い。
シュウくらいだろうか。
「こ、こ、買うて、くれま、せんか...」
震える指先には、花芯が黄色の小さな白い花。
ずっと握り締めていたのか、しおれかけている。
「7,000'S...6,000'Sでも、ええ、ですっ
お願いしますっ!」
自分と似た口調の彼女を見下ろす。
「...ごめん、お金、持ってないんだ」
「あ、せやったら5,000、4,000でもええですっ」
お願いします、と見上げてくる目が潤んでいる。
「1'Sも無い。ごめん」
「あ、いえ、すんません」
がっかりとして歩いて行く。
「おーい、ねえちゃん。
4,000でいいのかぃ?」
少し先の店先で飲んでいた男が、財布を振った。
「えっと...7,000'S...」
「チッ、こんなガキにそんなに払えるかよッ」
「ぁっ、よ、4,000でええですっ」
「ほらよ、4,000'S」
ありがとう、とお金を受け取った彼女の肩を抱く男。
「その辺でいいだろ」
「あ、はい...」
彼女が落としたしおれかけの白の花は、酔っぱらいたちに踏み砕かれて、花弁一つ残っていなかった。
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