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海に漂う星屑のように

第6章 EXTRA②〜君は僕の輝ける星


「静かだね」
確かに。サラサラと雨が降る音のほかは、互いの息遣いしか聞こえない。
「ああ、そうだな」

その後は、また二人とも黙った。
ゆっくりとした優しい時間が流れていく。

陽菜多はレモンティーの缶をぎゅっと両手で握りしめるようにして飲んでいた。
俺は、そんな陽菜多の横顔を飽きることなく見つめていた。

「ねえ・・・師月」
「ん?」
「七夕の日って雨降りの方がいいって知ってる?」
「いや知らねえな・・・そうなのか?」

コクリ、と陽菜多がレモンティーを飲んだ。

「うん、ほら、織姫と彦星っているじゃん?
 あの二人が会えると雨なんだって」
「晴れたほうが会いやすい気がするけどな・・・」
「ふふ・・・会ってる時を、下から見られたくないから、かもよ?」

そういうことなら少し納得できるかもしれない。
俺も陽菜多といるこの大切な時間に、誰かを連れてきたくはない。

「だから、今日は良かったのかも。
 二人、会えたんじゃないかな?」

陽菜多はクスリと笑った。

その言葉をゆっくりと噛み締めて、
・・・少し考える。

一口、俺もコーヒーを飲んだ。
クリアな苦みが喉に落ちて胃に沁みる。

不意に思った。
ちょっとだけ勇気を・・・出してみようか、と。

「俺達も、こうして会えたしな」

言葉にしたい思いがあったけれども。
やっぱりこんなふうにしか言えなかった。
しかも、言ってから、やっぱり顔が赤くなるのを感じる。
暗くて顔色がわからなくてよかったと思ってしまう。

陽菜多がこちらを向いてふふっと笑ったのだけがわかった。

「そうだね・・・。
 そういえば、初めて会ったときも、師月は飲み物くれたよね」

臨港パークでのことか。
あの時は苦いコーヒーに顔をしかめていたっけな。

「そして、キスしてくれた」
その言葉に、ドキン、と俺の心臓が跳ねる。

「嬉しかった」
ポツリと呟いた陽菜多に気持ちが溢れそうになる。
とても、とても愛おしく感じてしまう。

雨が二人を包む。
二人きりのこの場所で、
俺は、生まれて初めてかと思うほどの強い愛情と・・・
劣情すら感じてしまっていた。
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