第6章 EXTRA②〜君は僕の輝ける星
【エクストラトラック:You're my only shinin' star☆】
「雨・・・降っちまったな」
空を見上げる。
一縷の望みをかけて車で数時間かけて空気の澄んだ高原まで来てみたが、どうやら星空には嫌われてしまったらしい。空はすっかり雲に覆われてしまっており、ついに雨まで降ってきた。
周囲は真っ暗で、人通りも車通りもない。
きっと晴れていたらさぞかし満天の星空がみられたことだろう。
「んー、まあしょうがないよね。天体観測ってこんな感じだし」
さほど陽菜多ががっかりしていないのが救いだった。
今日は7月7日。
七夕だ。
全くの平日なのだが、偶然にも今日と明日と、2日連続で休暇を取ることができたのだ。
どこか行きたいところがあるか、と陽菜多に尋ねた結果が『高原で天体観測』だったというわけだ。
「このまま帰るのもなんだしな〜」
思い立った俺は、後部の荷台からタープを取り出した。
「ほれ、そっち持て」
頭の上に『?』がついたままの陽菜多に、あれやれこれやれと指示をして・・・
「うわああ・・・すごい!」
あっという間に車用のタープを張った
少し大きめのものを買ったので、二人でタープの下で折りたたみチェアに座ったとしてもまだゆとりがあった。
「この椅子すごいね、折りたたんだらあんなにちっちゃくなるのに、ちゃんと枕までついている」
これも、つい最近用意したものだった。
陽菜多が天体観測を好きだと言ってたので、いつかこういう日が来るんじゃないかと思っていたからだった。
「せっかく来たんだし、雨の高原ってのもいいもんだろ?」
寒いと言うほどではないが、平地より気温はだいぶ低い。これなら蚊取り線香を焚かなくても大丈夫だろう。
「飲み物、冷たいのしかないけどいいか?」
「あ・・・うん。いいよ」
陽菜多には冷たいレモンティー(甘いやつ)を、自分用にはアイスコーヒーをクーラーボックスから取り出した。
パチンと明かりを消すと、真っ暗になるかと思いきや、雲を通した薄明かりだけがあたりを包んだ。もしかしたら、星の光が透けて降りてきているのかもしれない。
二人並んで座って、ゆっくりと飲み物を口に運んだ。