第6章 EXTRA②〜君は僕の輝ける星
でもすぐにそれを心の奥底に沈めていく。
なぜなら、俺の目の前にいる人は、
乱暴に近づいたら、壊れてしまうのではないかと思うほど、
それほど、綺麗な人だからだ。
まるで地上に落ちた星が、音を立てて形を成したような。
俺にとって陽菜多は、そんな人、だった。
だから、こんな思いなんて持ってはいけない。
「ねえ、師月」
そんなふうに思っているところに声をかけられたものだから、
俺はことさらにドキリとした。
「な・・・何だ」
「ん?うん・・・師月は七夕になんのお願いしたの?」
「俺か?俺は、」
そこで言葉が途切れた。
今の今まで七夕のお願いなんてことすら頭になかったからだ。
職場でもし冗談交じりに書くなら『今のヤマが早く片が付きますように』とでも短冊に書くかもしれない。
でも、今は・・・
ギュッと手の中のコーヒー缶を握りしめた。
そうでもしてないと、何かが心から溢れかえってきてしまいそうだった。
「・・・ふふ、内緒だよね・・・
そうだね。うん」
「ひ、陽菜多は?」
「俺?・・・俺はぁ」
内緒、とでも言うかと思ったが、意外にあっさりと言った。
「師月が、俺の側にいてくれますように・・・って言ったら怒る?」
軽い口調とは裏腹に、目には切なさの温度が宿っていた。
ぐぅっと胸が痛くなる。
完全にスイッチが入ってしまう。
何か自分でもわからない感情が強く、強く腹の底から湧いてきて、
凄まじい奔流となって流れ出ようとしていた。
一気に持っていたコーヒーをあおり、あたかも次の飲み物を探してますからという体で、そこから離れないと、居ても立っても居られないほどだ。
陽菜多の存在が俺の中でどんどんと大きくなっていくのがわかる。
今はかろうじてこうして押さえられているが、これがいつまで続くか、
続けられるか、わからない。