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【呪術廻戦】誰も知らない

第27章 【脹相】へる日々


ただ八重の感情なら〝繋がり〟で知ることができる。
きっとケーキを渡して五条が喜べば、八重の嬉しさの感情が伝わってくるはずだ。
そう思っていた。
しかし、待てど暮らせど八重の感情は届かなかった。
いや、今まで他のことに気を取られて気づいていなかったが、八重の気配すら感じなかった。
こんなことは〝繋がり〟を持ってから初めてだった。
背中がゾクリとした。
呼吸が少しだけ浅く、速くなる。

今どこにいる?
五条とは会えたのか?
ちゃんと五条は喜んだのか?
八重の気持ちは?

(どうして何も伝わってこない?)

気づけば高専内をウロウロと歩き回っていた。
しかし時間はもうあと四半刻ほどで日付が変わる夜中。
そんな時間に逢瀬するような場所がどこなのか脹相には検討もつかなかった。

「あれ?脹相?どうした?」

しばらく歩き回っていると虎杖とばったり行きあった。
手には煮物が入った大きなタッパーを抱えて、そちらにも煮物が入っていると思しき口をモグモグと動かしていた。

「なんか腹減ってさー。台所行ったけど八重さんいなかったから冷蔵庫に入ってた晩飯の残りもらってきちった。脹相も腹減ったん?」

「…いや、違う」

無邪気に差し出されたタッパーをお前が食べろとばかりに押し返しながら歯切れの悪い返事をする脹相に虎杖は何かを察したようだった。

「八重さん、五条先生と屋上で待ち合わせしてるって言ってたけどまだそっちにいるんかな?五条先生、今日何か忙しそうだったし会えてるといいけど」

何の気なしに八重の居場所を教えてくれる虎杖を思わず凝視する脹相。
それに気圧されて虎杖はヒクリと顔を引きつらせると「いや、どうかはわからんけど」とハハハと乾いた笑いを発しながらその場を後にしていった。

屋上…。
八重はまだ屋上にいるんだろうか?
五条は屋上に行ったのだろうか?
確かに今日の五条は忙しそうだった。
一度も八重にちょっかいを出しに来なかった。

もしまだ会えていなかったら?
もうすぐ日付が変わるというのに。
ずっと屋上で待っていたとしたら?

脹相の頭に寒空の下で一人待ちぼうける八重の姿が過ぎる。
そうなったらもうダメだった。
脹相は屋上に向かわないではいられなかった。
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