第27章 【脹相】へる日々
今までそちらを見もしなかったのにその言葉の時だけはしっかりと虎杖の目を見て脹相は言った。
しかし、その結論が一段飛ばしで算出されていることを言った本人は自覚していない。
「なんで、そこで俺なんだよ」
虎杖はずっと胸に留めていた思いをこぼすが、その意図すらも脹相には伝わらないようで。
「悠仁は誰とでも上手くやれるからな」
「いや、そういうことじゃねーんだけど…」
虎杖も上手く言葉で伝えることができず、また伝えることが脹相のためなのかもわからずボリボリと後頭部を掻く。
「五条は……俺はまだ五条のことがわからない。どうして八重にあんなに近づくのか。何か思惑があるんじゃないのかという考えが拭いきれない…だから、五条が八重に近づくのに反応するのだと思う。
ただそれだけで五条から八重を引き離すのも違うというのはわかっている。だから、五条が八重に近づいても耐えるようにはする。だが、八重の邪魔をしていることが明らかな場合は干渉してしまうかもしれない」
結論には迷いがなかった。
未だに自分でも感情の正体はわからないまでも八重が困っている姿だけは見過ごせない。
その一点だけは今の脹相の中で唯一揺るがない答えなのだろう。
しかし、そんな確固たる答えを聞けば聞くほど虎杖の中ではモヤモヤと居た堪れない気持ちが募っていき、遂には「うーん…」と軽く頭を抱えてしまった。
「どうした…悠仁…?」
脹相の呼びかけにも応えず、唸りながらどんどん頭が沈んでいきいよいよ沈みきったところで止まってさらに唸った。
「悠仁、何か思うところがあるなら教えてほしい」
「んー…あー…っもー!わかった!いや、わかんないけど、わかった!それで様子見ればいいんじゃないかなー!たださ、脹相はもっと八重さんと向き合った方がいいと思う!」
階段から勢い良く立ち上がり、力強く指差しながら言う虎杖に対し、「もう十分向き合った」と悟りを開いたような表情の脹相に虎杖は溜息しか出ない。
「いや、もっと!それでも脹相の考えが変わんないって時は俺が八重さんもらうからな!」
「あぁ、それでいい」
「それまでは五条先生と八重さんの間には俺も入るから。ホント、もう、マジで…頼むよ脹相」
最後の方はほぼ虎杖の懇願であった。