• 小
  • 中
  • 大
  • テキストサイズ

【呪術廻戦】誰も知らない

第27章 【脹相】へる日々


脹相は決して五条がやっているようなことがしたいわけではない。
脹相がいる場所から八重の表情などは見えず、八重が困っているかどうかまではわからない。
なのに、黙って見てはいられない。
しかし、八重をこちらに引き戻す理由がない。
そんな自らの心の置き場所がわからない。
なので、気持ちも行動も宙ぶらりんのまま、後ろに下がることしか出来なかった。

「悠仁、俺は先に戻っている」

虎杖だけに聞こえるようにそう呟くと食堂を後にした。
廊下をズカズカ歩く。
「先に戻る」と虎杖に言ってはみたが戻るところなど特にない。
なので、ただ高専の校舎内を歩いた。
校舎の端まで来ると外に出て折り返し、庭を通って再び校舎の端まで歩いて校舎内に入った。
そうしてグルグルと同じ場所をひたすら歩いていた。
歩いている間、自分の未だに整わない感情について考える。

(俺は何に苛ついているんだ?)

(五条が八重に近づくのがどうして許せない?)

(俺は八重に何を望む?)

(俺は…八重に…)

(八重には何も背負わず、ただ幸せに…)

(幸せになってほしいだけだ)

(八重の幸せ…)

(八重は人の中にいる時が幸せそうだ)

(八重に人間の中での居場所を作ってやりたい)

(だとしたら明るくて人を惹きつける悠仁と一緒にいる方がいいはず)

(そうだ、悠仁と八重は一緒にいるのに相応しい)

(隣にいるのは俺でなくていい)

(五条は…?)

(どうして八重にかまう?)

(六眼に映らないのが、無下限に弾かれないのがそんなに珍しいのか?)

(興味感心だけか?)

(それだけであの距離に入るのか?)

(興味感心以外の下心があるんじゃないのか?)

(五条は底が知れない)

(八重を任せられるかわからない)

(だから俺は五条が八重に近づくのを嫌悪しているのか?)

(きっとそうだ…きっと…)

(…本当にそれだけか…?)

(本当にそれだけの理由で五条が八重に近づくことにこんなにも反応しているのか…?)

(…わからない)

(それがわからなければ八重を連れ戻せない)

(これは八重のためなのか?)

(それとも…)

(…わからない)
/ 277ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp