第27章 【脹相】へる日々
「真希先輩、俺ら今から八重さんに差し入れのスープ作るところなんだけどー」
「んなの、しょうが刻んで煮込めば出来るだろ」
真希の豪快で大雑把な回答に虎杖は思わず視線が遠くなる。
考えてみれば真希も御三家出身である。
しかも、好きな料理はジャンクフードだったことが虎杖の脳裏を過った。
「…真希先輩、料理とかしないでしょ?」
「うるせー、お前ケンカ売ってんのか?」
「スンマセン!」
どうやら図星をついてしまったようで下手したら鉄拳制裁もありえる雰囲気たったが虎杖の即刻の謝罪で事なきを得た。
「というわけで、行くぞ。悪いがスープは脹相一人で作ってくれ」
「え、待って。脹相、料理作ったことねーんだって。変なもん八重さんに食わせられねーって」
なおも食い下がる虎杖の肩に脹相が手を置いて諌めた。
「いや、悠仁。お前はミーティングとやらに行ってくれ。スープは俺が作る」
「…大丈夫なのか?」
「あぁ、八重が作るのを見たことがあるからな」
虎杖は料理が見ただけでできるものかと思いもしたが、三分クッキングだってテレビで見せただけで作らせるというコンセプトだしできなくもないのか?と思い直したり、初めて書いた文字をあんなに上手く模写できる脹相であればワンチャンできるのかもしれないと思い始めた虎杖は真希を始めとする高専メンバーを待たせることもできず、その数パーセントの希望に賭けることにした。
「本当に大丈夫かなー……わかった、とりあえず任せる!けど、わかんなかったら俺のこと待ってろよ?」
虎杖は念押すように脹相の顔めがけて人差し指を指したが、当の料理初心者・脹相は「わかってる。安心しろ。あとで悠仁にも飲ませてやるから」と謎の余裕すら感じる笑みを浮かべていた。
「いや、そこは心配してないから。とりあえず、これが生姜な?あとは…」
「大丈夫だ。だいたいの物の場所も知っている」
「いや、お前、どんだけ八重さんが仕事してるところ見てんだよ!」
虎杖からしてみれば普段からツッコみたいこと満載だったことが今この時にダダ漏れて、危なくもっと漏れ出しそうになったが真希に「ほら、大丈夫だっつってんだから行くぞ!」と急かされればそれらを全て飲み込んでその場を後にするしかなかった。