第27章 【脹相】へる日々
脹相は図書室から戻ったその足でまっすぐ虎杖のもとへ向かった。
「悠仁」
「あ、戻ってきた。もういいの?」
「あぁ。悠仁、これを揃えたいのだがどうすればいい?」
図書室でメモしてきた物を虎杖に見せる。
「え、これって…?」
「こういう時は身体を温めるといいらしい」
「つまり?」
「これを八重に差し入れる。部屋の前に置いておけば会わずとも渡せるだろう」
「まぁ、そうだけど…。これ、誰書いたの?」
「俺だ」
「え、脹相って字書けんの?ってか、字うまぁ!」
「そうか?初めて書いたからわからん。本の文字をそのまま書いただけだ」
「お前ってそういうところは器用なんだな…」
「そういうところ“は”とはどういう意味だ…?」
「いや、なんでもない。ってか、こういうのどうやって揃えればいいか俺もわかんないなー……あ!」
虎杖が何かを思いついてスマホを操作して耳に当てた。
「……あ!伊地知さん?ちょっと相談したいことがあんだけどー今高専にいる?……うん、ちょっと急ぎで……あ、いいよ俺がそっち行くから!……うん、じゃ!」
通話終了した虎杖はスマホをポケットにしまいながら、脹相の方を見ると「伊地知さんのところ行くぞ!」と笑顔を見せた。
あまりの鮮やかな手配に脹相は感動したように虎杖を見る。
少し目が潤んでいるようにも見える。
「…やはり持つべきものは弟だな…」
「いや、こんなの弟じゃなくてもできっから」
そうバッサリと切り捨てる虎杖に連れられて伊地知のところへ向かうのだった。