第27章 【脹相】へる日々
食堂に入った瞬間に今日は八重の料理ではないと匂いでわかる。
虎杖は味噌汁を飲んで「違う!」と叫んでいた。
(フッ…味噌汁を飲むまで気づかないなんて、悠仁もまだまだだな…)
「なぁ、脹相。八重さん、いないみたいだけどどったんだろうね?」
「そうだな」
味噌汁を一口啜る。
いつもより塩辛い味に眉を顰める。
「“繋がり”でわからんの?」
「今は部屋にいるが、気配は希薄だ」
今度は卵焼きを食べる。
出汁の香りはせず、卵の味が強く感じる。
「それ、大丈夫なの?」
「わからん」
白米を口に入れる。
いつもより米が柔らかい。
「部屋、行かんの?」
「俺が言っても八重はきっと話さない」
漬物を食べる。
これは八重が普段から漬けているものなのだろう。
いつもの味に少し安らぐ。
「えー、そう?」
「だから悠仁、この後様子を見てきてくれないか?」
結局白米には納豆をかけて掻き込んだ。
やはり納豆には薬味が欲しいものだとふと思う。
「えー、また?最近、俺のこと行かせすぎじゃない?」
「悠仁なら八重を任せられる」
脹相がまっすぐ虎杖を見てそう告げれば、虎杖は少し居心地悪そうな、それでもほんの少しだけ嬉しそうな照れたような顔をする。
「またそれ?気になるなら自分で行けよなー。まぁ、行くけど」
虎杖は苦情混じりでも満更でもなさそうなことを言い、残りの朝食をさっさと食べると八重の部屋に向かっていった。