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【呪術廻戦】誰も知らない

第27章 【脹相】へる日々


摘んだアスパラベーコン巻きを食べてみる。
その後はスパニッシュオムレツ。
どちらも脹相は初めて食べる物なので比較できるものではないのだが、それでもどちらも相当美味しい部類に入るのだろうと思った。

「いかが、でしょう…?」

初めて食べる物で脹相も味を探り探りだったためか、少し険しい顔になっていた。
八重はかなり心配そうにしながら脹相を覗き込んでくる。

「…美味い…どちらも…」

朝から言おう言おうと思っていた言葉はボソリと小さくなってしまったが、それでも八重の耳にはちゃんと届いていて、八重は安心したように微笑んだ。

「だが…」

脹相が言葉を続けると辛口評価でも言われるのかと思ったのか八重は笑みを解くと次の言葉に注目した。

「…俺はいつもの料理の方が好きだ」

そう言って味噌汁を飲み、「薄い」といつもの感想を言った。
それを聞いた八重はすぐに口元に手を持っていって「ありがとうございます…」と礼を言ったが、それでも隠しきれないほど嬉しそうに笑っていた。
そんな八重を見るのは脹相は初めてで、見た瞬間に心臓がバクリと一拍大きく跳ねた。

(なんだ!?)

焦りの為か頬が熱くなる。
頭に血が登った時とも痣に血が集中するのとも違う知らない感覚に脹相自身が戸惑ったが、目の前で未だに嬉しそうにしている八重にそれを悟られたくなくて残った朝食をバクバクと食べた。
そうしてあっという間に料理がなくなった皿を「いただきますね」と差し出された八重の手に渡す。

「お茶もお持ちすればよかったですね」

「いや、いい。あとで飲みに行く」

「はい、お待ちしております」

そんな当たり前のやり取りも何故か脹相の心をざわつかせて、居心地が良いのか悪いのかわからなかった。
ただ朝に想定していた一言が言えたことだけは妙にむず痒く、それでも悪くないと思った。
むしろ、もっと早く言ってやればよかったとすら思う。

(これからはもう少し言ってやるか…)

そう心で呟いてしばらくの間揺れる洗濯物を八重と眺めていた。
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