第27章 【脹相】へる日々
(それにしても遅い)
誰もいなかった食堂もちらほら人が集まってきていた。
呼びに行くだけなのであればそれほど時間もかからないはずなのに二人がなかなか来ないことに脹相は気持ちがヤキモキし始めた。
五条がゴネているのかもしれない。
八重に何かあったのかもしれない。
(俺も庭に行くべきか…?いや、悠仁に任せた手前そんなことをすれば悠仁への信頼を疑われる…)
結局は待つことしかできず。
今度は食堂の中をウロウロしだした。
人が増えてきた食堂を右往左往するのはかなり邪魔なのだが、それでも脹相の出す物々しい雰囲気に誰も何も言えずにいた。
そうしてしばらくした後、ようやく八重の気配がこちらに向かって来たのを感じた。
ホッとした脹相は食堂へ入って来た八重が自分にすぐ気付くようにと通路に立った。
会話の想定は既に出来ている。
今日は少しだけ八重を喜ばせることができるはずだと少しだけ期待もあった。
それなのに。
五条と八重、虎杖が三人で手を繋いで食堂に入ってきたのを見た瞬間、頭の中で用意していた想定問答も八重を喜ばせるという期待も一気にどこかへ吹き飛んだ。
通路で固まる脹相を見つけた瞬間、虎杖は急いで手を離した。
(悠仁、お前は繋いでいてもいい…)
しかし、五条は八重の手を離そうとはしない。
「五条悟、刹那を離せ」
脹相が唸るようにそう言っても「は?なんで?」と五条は更に力を込めて八重の手を握る。
(…なんで…?)
その問いに脹相は咄嗟に言葉は出てこなかった。
その間にも五条は挑発するように語気を上げる。
「てか、お前、八重の何なんだよ?八重の行動、制限する権利あんの?」
(…俺は…八重の…)
脹相の思考が歩みを止める。
感情の出力が落ちる。
それをあの五条が見逃すはずはなかった。
「ちなみに僕は八重が今一番気になるコだから、これから一緒に朝飯食いたい。お前にそれ、止める権利ないならどけよ」
(俺に…止める権利は……ない…)
無意識に脹相の視線は八重に向いた。
視覚に捉えた八重は困ったように眉を垂れている。
(お前は今、何に困っている…?)
「……好きにしろ」
結局、脹相はその場を去るという選択してしまった。