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【呪術廻戦】誰も知らない

第26章 【五条】永遠のコ


僕がこの一言にどんだけの覚悟と願いを込めているかなんて知る由もない八重は、僕は特別だって言い張る。
違う。
特別っていうのはそういうのじゃない。
そんなこともわかってないのか?
いや…

「じゃあさ、八重には“特別”な人はいない?」

僕はまっすぐ八重の瞳を見る。
八重、君は知ってるんじゃないか?
自分の中の“特別”。

「とく…べつ…」

うわ言のように呟いた八重の目は僕の方を見ているのに、僕のことは見ていなかった。
そして、次の瞬間にはそれを僕に悟らせまいと視線を逸らした。

あぁ、やっぱり…
いや、そんなの随分前から知ってた。
八重の中の“特別”の席は椅子取りゲームなんかじゃないってことくらい。
その席にはもうアイツがずっと胡座をかいてるってことくらい。
それでも、もしかしたらって縋ったのは僕だ。
もう笑うしかない。
でも、これでようやく八重も自覚しただろ?

「今、誰思い浮かべた?」

そう言いながら八重を解放する。
少し離れたところの机まで歩き、腰掛ける。
今、僕はきっと意地悪く笑ってる。
でも、それでいい。

「あの、そんな、特別とかでは……依怙贔屓とかはしていませんし……」

まだそんな言い訳を重ねて、見苦しいったらありゃしない。
だから、先生として八重に良いことを教えてあげよう。
君に対する最初で最後の授業、かな?

「もし、その人に何か強く願うことがあるんだったら呪っちゃえばいいよ」

言葉にしてみたら随分物々しいものになったから、八重は理解が追いつかなかったのか一瞬でフリーズした。

八重には呪力がないけれど、人を呪うのにそんなのは必要ない。
誰かを強く想う感情は、時に本人や周囲を縛り付ける強力な“呪い”へと変化する。
八重はもう十分それを持ってるだろ。

「これは僕の持論だけど―――――」

僕がこの世で一番歪んだ呪いが何たるかを教える。
本当は僕が君にかけたかった、一番やっかいな呪い。
この呪いが花開くのは今じゃなくていい。
今はただこの呪いが根を張り、君の中で育てばいい。

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