第26章 【五条】永遠のコ
「素敵なお願いですね。きっと叶いますよ、ロウソクを一息で吹き消せましたから」
もうその笑顔やめて。
ホント、抱きしめたくなる。
「本当なら年齢の数だけロウソクを立てるそうですが用意してみたら思っていたよりも多くて、どうしようか悩んでいたらこんなのもありますよって伊地知さんが…」
ニコニコ話していた八重がハッとして口を押さえた。
うん、なんかデジャヴ。
言われてみれば、このロウソクにしてもケーキを入れてる箱にしても八重が用意できるはずがない。
しかも、今日はやたらと伊地知が僕にいろいろな仕事を吹っかけてきた。
おかげで八重のところに行く暇がなかった。
そうか…伊地知が…。
「あいつ、明日、マジビンタ」
「び、びんた?」
「あぁ、平手打ちってこと」
「それは!…それは、ご勘弁ください。私がお知恵をお借りしただけなんです」
顔を青くして慌てる八重も可愛くて、少しだけいじめてみたくなる。
「でもさー、今日、僕の誕生日なのにいろいろ仕事言いつけられてさー。ここに来るのだってこんな時間になったワケじゃん?」
「あああ、それは“けーき”を作っている間、私のところに五条さんが来れないようにできないかと相談しておりました…」
「それにさー、1週間以上前から伊地知は知ってたのに僕に内緒にしてたってのも気に食わないよねー」
「わわわ、それは私も五条さんに“さぷらいず”をしてみたくて秘密にして欲しいとお願いしていたんです…」
「ふーん」
しばらく八重を見つめていると、居心地悪そうに胸の前で手をもんだ後で伺うように上目遣いで僕を覗き込んでくる。
「あの、お仕置きは私が受けますので…どうか伊地知さんだけは…どうか…」
なんか僕が悪代官か何かみたいになってきた。
ここまで八重に庇われてる伊地知には別の意味でマジビンタしたくなる。
でも、この流れはちょっとおいしいよね。
「代わりにお仕置き…受ける覚悟ある?」
僕はわざと低くそう囁やけば八重はビクリと肩を揺らしたけど、僕に向ける目には意志の固いものがあった。
「はい…私になら何なりと…平手打ちでもさらし首でも如何様に…」
いや、さらし首はさすがにない。
ビンタもしないけど。
もう笑いたいのを堪えるのも限界になってきた。
「じゃあさー…」