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【呪術廻戦】誰も知らない

第26章 【五条】永遠のコ


教えられた番号の部屋のドアをノックした。
悠仁とか恵とかの部屋なら始めっからドア蹴破って開けて入っていくけど、さすがに女のコの部屋だしね。

「はい」

静かな八重の声が聞こえた。
あ、いた。
ちゃんと、いた。
今まで歩き回っていた気持ちがやれやれって腰を下ろした気分。

「あ、刹那?なんか体調崩してるらしいじゃん」

気分とは裏腹の軽い口調で話し始める。

「君でも体調とか崩すんだ?」

本当に体調なのか、それとも他の理由なのか。
本当だったら、ドアを開けて姿を見たい。
けど、八重はドアを開けてくれなかった。
仕方ないから、ドア越しに話を続ける。

「…逃げ場がなくて苦しい、みたいな感じですかね…」

『苦しい』って。
1000年、誰にも捕まらず、生きてきた八百比丘尼が。
心タンポナーデなんて例えているけど、それ、他人の手で医療施さなきゃなんないレベルだから。
それを周りに助けも求めずに、毎月殻に閉じこもって耐えてんの?
1000年間?
毎月?
想像を絶するというか、想像もしたくない。
そんなことを考えていた少しの間に八重の声が耳に滑り込む。

「五条さん、あなたの“目”に私はどのように映っていますか?」

そういえばこの前、僕の術式や六眼については軽く説明していたっけな。
その時は理解した感じはなかった。
呪術の世界の外で生きてた存在なんだから当たり前っちゃ当たり前。
でも、そのあとも考えていたんだなとそれだけでわかる。
で、じゃあ、呪術抜きで異質の自分はどう見えているのか気になったってところか。

「実はさ、僕の“目”には……八重って映ってないんだよねー」

ごめんね、僕、君の正体まではわからないんだ。

「だから、こうして見に来ないといけない。ホント、面倒だよね」

そういう意味で言ったわけじゃないのに八重は謝った。
そこんとこだけが八重への不満なところかなー。
自責的で自罰的。
いつだって他人のことばかり考えてる。
いつだって自分で何とかしようとしちゃってる。
でもさ、君の周りの人間が君のことどう思っているかなんて考えてもいないんだよね。
だから言った。

「みんなに言う第一声が『申し訳ありませんでした』だけなんてはやめろよ」

君が謝るところなんか見たってなんにも面白くない。
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