第26章 【五条】永遠のコ
次の日。
「五条先生、今ちょっと時間、いい?」
悠仁と八重、それと憂太が僕を訪ねてきた。
近々、八重の話をしてくれるとは思っていたけど、憂太も来たのが少し意外だった。
「んじゃ、地下室でも行こうか」
そう言って、お馴染みの地下室に向かう。
八重も戸惑う様子がないところを見ると地下室の存在は知っているみたいだ。
地下室に着いてからは僕がジュースやらお菓子やら出して3人をもてなしてあげた。
そして、テーブルにそれらを並べて僕はソファに足を組んで座った。
「で、八重のこと教えてくれんの?」
3人は顔を見合わせると頷いた。
「私からお話いたします」
八重が進み出る。
「わかった。じゃあ、まずここ座って」
僕はソファの隣をポンポンと叩く。
僕だけ座って他が立ってるって絵面的にもアレだしね。
「悠仁と憂太も立ってないで座りなよ」
ということで、(たぶん)三人掛けのソファに4人で身を寄せ合って座る。
「ほらほら、八重。もっとこっちに寄らないと悠仁が座れないでしょ」
と、八重の腰を抱けば、
「五条先生、ここ、そういう店じゃないからお触りやめて」
「え、ここ、お触りNG?そんな堅いこと言わないでさー。ボトル入れるしさー」
なんて悠仁と一緒に軽口を叩けば、八重は訳がわからないみたいに困ってるし、憂太には「先生、本題に入りましょう…」って呆れられるしだからやれやれと組んだ足に肘を立てて頬杖ついて八重を見た。
ようやく話し始めていい雰囲気になったと悟った八重は話を始めた。
最初は何てことない昔話のような入りだった。
人魚の肉を食べた子どもが海に魅入られた話。
そんな話がめでたしめでたしで終わるワケもなくて、次々と災難が降りかかって、勝手に自分で罪を背負って、勝手に自分で沈んでいく。
胸糞悪い話だった。
しかも質が悪いことに、まだ終わってない。
行き着く先にはバッドエンドしか見えない。
そんなクソつまんない物語。
しかも、八重、巧妙に話してるつもりだろうけど、それだけではない感じ。
ただ受動的に永く生きているだけじゃない。
八重の意思で動いた瞬間の話がやけにボケてる。
さて、八重は何を意図して何を誤魔化しているのかな。