第26章 【五条】永遠のコ
「これ、面白くない?面白いよね?僕は面白い」
悠仁という比較対象が現れたことで、それはなお顕著に感じられて、僕は八重の手を指と指を絡ませるように握る。
指の間を滑る感覚まで鮮明だ。
「こんな呪力が1ミリもないような普通の子なのに、僕の無下限を突破してくる。ホント、八重って何なの?」
そう訊けば八重と悠仁の目が点になって、ふたりで目を合わせて無言で変な顔して首を振ったり、頷いたり。
ちょっと待って!
それで隠してるつもり!?
何かあるのが丸わかり。
二人はそれを真面目にやってるんだから、もう…。
この二人、いいコンビだなぁ(笑)
でも、この感じだとしばらくしたら向こうから教えてくれそうだし。
だから。
「何、何〜?」
と二人の間に割って入ったのは二人の反応を見たかっただけ。
「っうわー、ホント、何でだろう〜」と目が泳ぐ悠仁に続いて、
「私、こんな不思議な現象、永く生きてきて初めて見ましたー」と八重が胸の前で手を合わせて珍しく取り繕ったように笑う。
悠仁が八重の言葉を聞いてバッと八重の方を向き直る。
それに気付いて八重がハッと口に手を当てる。
もうなんかのコントにしか見えない。
吹き出しそうになるのを必死にこらえてあげる僕、良い大人だと思う。
そして、話を逸らそうとする「先生、飯食いに行こうよ!」という誘いに乗ることにする。
「ほら、五条先生も八重さんの手、離して」
悠仁が促してくるけど、それは聞こえないふりする。
もう少し、この生の感覚を手にしていたい。
そのくらいのワガママなんていつものことでしょ。
そんな僕から八重を引き離そうとしてか、悠仁まで八重と手を繋ぎ始めた。
「悠仁だって繋いでんじゃん」
「いや、これは、先生が離さないから!」
わかった、わかった。
「はいはい、行くよー」
3人で仲良く食堂へ向かう。
真ん中の八重は歩きにくそうだけど、手を引いて転ぶのだけは阻止してあげる。
それ以外は八重が一生懸命バランス取ろうとしているのが面白くて気付かない振りして歩いた。
この手はしばらく離す気はない。
今のところ。