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【呪術廻戦】誰も知らない

第26章 【五条】永遠のコ


しばらく八重が洗濯物を干す姿を眺めていたけど、全然僕に気付く様子がないから声をかけることにした。

「おはよー、八重」

そうしてようやく八重の視界に入ることができる。

「おはようございます、五条さん」

微笑む八重の後ろで揺れる洗濯物はついさっきから干し始めた量ではない。
一体いつから起きてるんだか。

「朝から元気だねー。よく眠れた?」

「はい、不足はしてません」

ん?
何その返し。
「よく眠れた?」って訊かれたら「よく眠れた」で良くない?
そんな妙な言い回しも八重節なの?

「そりゃ、よかった。僕は3時間しか寝れなかったー」

大きな欠伸をして見せれば八重は「もう少しお眠りになってはいかがですか?」と苦笑している。
ごもっとも。

「いや、ちょっと八重と話したくて」

何気なく目に入った干された洗濯物は皺の一つもない。
綺麗だな…。
洗濯物にそんな感想を持ったことはなかった。
八重はそんなことなんでもないと言うように「何をお話しましょう?」と手にした洗濯物を置くとこちらを向いて背筋を伸ばした。
ペッパーくんなんて揶揄したけど、そういう一つ一つの所作は見た目の何倍も人として研ぎ澄まされている。
むしろ度を越している。
本人、ペッパーくんがピンときてないみたいだけど。
でも、僕は。

「昨日みたいな素の声、嫌いじゃないんだけどなー」

正直、昨日の八重の声は笑えた。
八重もあんな声を上げたのは生まれて初めてだったのか、恥ずかしそうに俯いて上目遣い気味にこちらを見る仕草。
ほら、こっちの方が何百倍もいい。

僕は気まぐれにやってみたくなって、洗濯かごから洗濯物をつまみ上げた。
八重は遠慮して止めるけど、「邪魔してたなんて知れたら僕が怒られるでしょ」なんて答えて退ける。
まぁ、邪魔なんてしてもしなくても一緒にいるだけで殺気が飛んできそうだけど(笑)
そんなこと考えてる間に1枚干し終わる。
結構綺麗に出来たんじゃない?
八重が目を輝かせて褒めてくれる。
僕は調子に乗って、更に1枚、2枚と干してみせる。
八重も手を動かし始めて、何ともない話をしながら一緒に洗濯物を干していた。

平和すぎて、何だか夢の中の出来事みたいに感じた。
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