第26章 【五条】永遠のコ
パーティがお開きになると、自室に戻って僕がいなかった間の現状把握で夜が更ける。
日下部さんに「これだけは読んどけ」って渡された渋谷事変後の『現状整理資料』。
まとめる時間もなくて集めた資料をファイリングしただけのド分厚いファイルがドサドサと渡された。
完全に『これだけ』って量じゃないでしょ?
まぁ、読むけどね。
中には渋谷の被害状況。
一般人への被害。
呪術師への被害。
呪霊や呪詛師の動向。
死滅回游について。
各コロニーにおける泳者について。
確認されている受肉体の情報。
戦闘事例。
他国の軍の介入状況。
その他諸々。
そんな雑多な情報の中。
七海の死。
野薔薇の容体。
棘の負傷。
伊地知やその他補助監督の死と負傷。
僕が封印されたことによる総監部の動き。
夜蛾さんの死。
悠仁の処刑と蘇生。
禪院家の壊滅。
恵への宿儺の受肉。
津美紀への過去の呪霊の受肉、及び死。
天元の陥落。
そして、傑の身体に入っている奴の情報。
獄門疆に入っていたのは3週間くらいなのに、いろいろ起こりすぎ。
「あー、しんどー…」
僕は背もたれにもたれて腕で目を覆うと天井を仰いだ。
かなりの情報量にいくら僕でも頭が痛くなる。
あー、甘い物食いてー。
いや、一度寝るか。
いくら常に反転術式で脳をリフレッシュしてるからって、やっぱり睡眠には敵わない。
ベッドに横になり目を閉じれば、すぐに意識を手放せた。
体感的には目を閉じていたのは一瞬だった。
時計を見れば約3時間。
レム睡眠とノンレム睡眠の1クール。
まぁ、十分か。
あー、また資料読み込むか?
いや、だいたいの内容はわかった。
今更詳細を読み砕いたところで、だ。
これからのことを考えた方が余程建設的ってもんだ。
そんなことを考えていたら、外から何か音が聞こえる。
大きいわけじゃない。
煩いわけでもない。
ただ、今の僕にとってはあまりに“普通”過ぎて耳についた。
そして、思い当たった。
資料には載ってない、僕史上最大のイレギュラー。
まずはそっちに行ってみることにした。
音が鳴る先は庭だった。
八重が洗濯物の皺を伸ばす小さい破裂音。
一晩中頭の中にあった惨状とは恐ろしく真逆の生活感。
その渦中にある八重はというと、すごく活き活きした様子だ。
思わず溜息とともに顔が綻んだ。
