第26章 【五条】永遠のコ
料理も出来上がったから食堂に立食形式に並べているところで、ガヤガヤと騒がしさが近づいてきた。
微かに「五条先生、ホント、どこ行っちゃったんだろー?」とか「本当に消滅しちゃったのかなー?」とか聞こえてくる。
いよいよサプライズの時が近づいてきたみたい。
皆が食堂の入口に来たタイミングで、
「よー、おかえりー」
と片手を上げて見せる。
一拍、二拍、三拍。
皆の目が少しずつ大きくなっていって、遂には。
「「「五条先生ー!!」」」
皆、息ぴったりの大声。
一つ、サプライズは成功。
もう一つの方はと隣にいる八重を見ると、布巾を胸の前に握りしめた八重が更に三拍かけてギギギと僕の方に顔を向けた。
大きい目を更に大きくして、震える唇が徐々に開くと、
「ふぇぇぇー!?!?」
と、世にも不思議な声を上げた。
こっちのサプライズも大成功したようだ。
僕は堪らなく愉快で気持ちよく笑った。
「先生ー!いつ帰ってきたの!?てか、どうやって帰ってきたの!?今まで何してたの!?」
悠仁が駆け寄ってきて心に浮かんだ疑問を浮かんだ順にポンポンと口にする。
「だいぶ前に帰ってきたよ?で、八重が一人で僕のおかえりパーティの準備するって言うから手伝ってた」
そう言って隣で未だに固まったままの八重の背後から腕を回して、前で指を組んだ。
バッグハグまではいかないけど、正面から見たらそう変わらない体勢。
さぁ、誰が食いつく?
「ちょっ!五条先生!」
真っ先に悠仁が声を上げる。
はい、悠仁、アウトー。
で、その次に飛んでくるのが物凄い殺気。
おいおい、戦場でもあるまいし、どこの誰がそんなもん僕に向けてんの?って視線で追う。
「お前、なんでここにいんの?」
視線の先にいたのは渋谷で封印された、まさにその現場で見た顔。
かなりやる気はなかったけど、覚えてる。
赤血操術の。
「俺は悠仁の兄だからだ…」
「は?訳わかんないんだけど?祓うよ?」
周りの皆は普通に受け入れてるみたいだから、まぁ事情があるんだろうけど。
「っ五条先生!これにはいろいろあって…」
「そう?じゃあ、後でゆっくり聞く」
そして僕は八重の頭に顎を乗せ、そいつに目配せしてみた。
そいつは眼光をより一層鋭くする。
あー、そゆこと?
八重、そっち側だったかー。