第26章 【五条】永遠のコ
パーティの準備をしながら僕が封印されて以降のことを八重が知っている範囲で教えてもらった。
てか、たぶん八重の説明でだいたいのことは把握できたと思う。
そのくらい八重は事のあらましを知っていた。
呪術界の外の人間にこんなに情報漏洩してて大丈夫か?とも思ったけど、悠仁と行動してたなら頷けるか。
「あなた様は悠仁くんの学校での様子もご存じなのですか?」
だいたいの情報提供が済んだところで、今度は八重が訊いてきた。
「ん?あぁ、よく知ってるよ」
だって担任だからね。
だから悠仁の学校生活について教えてあげた。
秘匿死刑になったことや、一度死んだっていうエピソードでは驚いたようだけど、その他は概ね楽しそうに話を聞いていた。
まるで全然知らない世界を知るみたいに。
八重、君、学校行ったことないの?って思うくらいに。
悠仁の話も出尽くして、しばらく八重は黙々と料理をしていた。
僕はそれを作業台にもたれかかりながら見つめる。
僕の役割は専ら味見役だから出る幕はない。
八重の料理の手際は信じられないくらいよかった。
次々と出来上がっていく料理は圧巻だったけど、如何せん和食中心で味も薄かった。
かと思えば、悠仁が好きそうな唐揚げとか牛丼とかも作っていてそれだけが浮いてる。
あらかた作って、ふと、
「五条さんは何がお好きなんでしょう…」
と呟いた。
八重はまだ見ぬ(いや、目の前にいるけど)“五条悟”の好物まで気にし始めている。
良い子過ぎて笑える。
「“五条悟”はね、甘い物好きだよ。デザートっぽいものないからプリンでも作ってあげたら?」
「“ぷりん”……南蛮菓子ですね…」
八重は難しい顔をすると、「少し失礼します」と厨房を出ていった。
しばらくして本を何冊か抱えて戻ってきた。
全部お菓子のレシピ本。
その全部でプリンのページを開いてブツブツ何か呟きながら一通り目を通していく。
「材料もあるもので出来そうですし、茶碗蒸しの作り方に似てますね」
そう言って材料を集めるとレシピも見ずに作り始めた。
出来上がったものはというと、完璧にプリンだった。
「初見でこれ?」
「はい、こんな感じで大丈夫でしょうか?」
不安そうにする八重に抜群に美味い!と伝えると嬉しそうに笑った。