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【呪術廻戦】誰も知らない

第25章 いとほし日々[後編]


数日後。
八重は修練場にいた。
ここでは脹相、虎杖、加茂が赤血操術の修行をしている。
最近は戦いに向けての会議も減り、それぞれの鍛錬が主となっているため、八重も手が空いた時間を鍛錬の様子を見せてもらうことが増えていた。
休憩になればお茶を渡したりする。

「お疲れ様です。お茶と軽食を準備しましたのでどうぞ」

「ありがとうございます、八重さん。いつも修練を見ていますが暇じゃないですか?」

お茶を手渡すと加茂が申し訳なさそうに言う。

「いえ、実は私、脹相や悠仁くんが戦っているところを見たことがないのです。なので、私からすると意外な一面を見てるようで楽しいです」

八重がにこやかに答えれば、

「そうそう、脹相とか教え方ポンコツ過ぎるのウケるよな」

虎杖がいたずらっ子のように笑う。

「ぐ…すまん、悠仁…役に立たない兄で…」

脹相が不甲斐ないとばかりに唇を噛めば、

「いや、言い方悪かったって…泣くなよ」

虎杖がウンザリしたように言う。

「ふふ」

そんな一場面が八重にとっては愛おしい。
決戦が始まるまで、もう2週間程しかない。
今はこの一日一日を大事に噛み締め、心に刻んでいきたかった。
ここから離れた後も、大切にできる思い出として。
その時、修練場のドアがバンッと開いたかと思うと五条がズカズカと入ってきた。

「はい、ごめんねごめんねー。ちょっと八重借りてくからお茶は自分で注いでねー」

そう言うと八重を肩に軽々と担ぎ、入ってきた勢いのまま部屋を出ていった。

(((人攫い…!?)))

あまりに鮮やかな犯行の手口に、攫われた八重を含むその場にいた誰もが反応できず、ただ見送るしかなかった。
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