第1章 炎柱は音柱を許さない 【鬼滅の刃 煉獄杏寿郎】
「熱い、の……。杏寿郎さん、私、どうしちゃったの……っ」
は震える手で煉獄の胸元にしがみつき、理性を失わせる熱に浮かされながら、彼の首筋に顔を埋めた。
「宇髄! 何を飲まされたか分かるか!」
遅れて現れた宇髄が、転がっている小瓶を拾い上げて苦々しく吐き捨てた。
「……質の悪い情欲剤だ。命に別状はねぇが、素人の娘にはキツすぎる。派手に理性が飛んじまうぜ」
「……っ! 宇髄、貴様、あとで必ず、それ相応の覚悟をしておけ」
煉獄の声から温度が消えた。
彼は着慣れぬ羽織を脱いでを包み込むと、自分に縋り付いて離れない彼女を、壊れ物を扱うように、けれど誰にも渡さぬと言わぬばかりの強さで抱き締めた。
「おい、煉獄。このまま連れ出せば騒ぎが派手になりすぎる。一旦ここで薬を抜くのが一番だ」
宇髄はそう吐き捨てると、気を失った客を無造作に担ぎ上げた。
そして、葛藤に歪む煉獄の顔を覗き込み、低く冷徹に言い放った。
「その薬を放置すれば、体内の熱が暴れて最悪の場合、心臓が止まりかねん。……いいか、この場で、男であるお前が熱を逃がしてやるしかねぇんだよ。……抱け。それが、今のこいつを救う唯一の手段だ」
宇髄はそれだけ言い残すと、夜の帳の中へ消えていった。
静まり返った室内には、ただの激しく、乱れた呼吸だけが響いていた。
「……っ…きょう、じゅ……ろう、さん……」
は、自身の着物を掻きむしり、白く滑らかな肩を露わにしていた。
薬のせいで濁った瞳には、ただ、愛しくてたまらない男の姿だけが映っている。
「……。すまない、俺の不甲斐なさのせいで……こんな……っ」
「……あつい、の。おねがい、さわって……、杏寿郎さん……じゃないと、わたし……っ、は、あぁ……っ!」
彼女の小さな手が、煉獄の逞しい首筋に絡みつく。
高熱に浮かされた肌が触れ合うたび、の口からは、普段の彼女からは想像もできないような、艶めかしく、甘い喘ぎが漏れた。
「……ああ、分かった。……もう、我慢しなくていい。俺が、お前を救おう」
煉獄は、鋼のような自制心を自ら断ち切り、彼女を壊してしまいそうな恐怖を押し殺し、その熱い体に覆い被さった。