第2章 積み上げた日々の温もり
「悟くん、待って!
一緒に行こう?」
中学生になった私は、兄を"お兄ちゃん"と呼ぶことをやめた。
もう、そう呼ぶことは出来なかったのだ。
この時は兄妹であることを恨んで、そうなくなることを願っていた。
「ひとりで行けよ」
お互い思春期となった私たちは、
お互い別々の位置で距離を取った。
部屋の外で冷たい声を発した悟くんの気配が消える。
まだ髪を整え終わっていない私は、悟くんの前に出ることが出来なかった。
好きな人の前では、完璧でありたい。
急いで準備をし、廊下を駆ける。
いつもあなたに追いつきたくて必死だった。
でも…追いつくことは出来ないの。