第3章 求めたのはたったひとつ
「傑だけは許さない
クズにはあげねぇよ」
頭を引き寄せられて、肘置きにされた。
心臓は痛くて、今にも飛び出そうなの…。
夏油さんは私を見て、少し目を見開いた。
そしてすぐにニコッと笑う。
その笑顔が少し…胡散臭く感じた。
「悟には言われたくないね
クズなのはお互い様さ」
あ、クズって認めるんだ。
「じゃあ…妹の私もクズ?」
「んなわけねぇだろ」
悟くんがすぐに否定してくれる。
でも…自分で"妹"と言って、苦しかった。
妹でいればずっと一緒に入れるのに、なんで私はこんなに…
この人の心を求めてしまうんだろう。
「傑さんとしたら、私も仲間だね!」
「なんで名前呼びになってんだよ…」
「悟くんも名前で呼んでるから……」
悟くんは私の頭に肘を置いたまま覗き込んでくる。
近過ぎて、頭が沸騰しそう…
真っ赤になっているであろう私の顔を見ても、私の気持ちを知っている悟くんは、
特に驚きもしないし、なんの反応もしない。
こんなにも苦しくなるのは、私だけ。
既に突きつけられている事実が、痛い。
「すんなよ」
悟くんはそれだけを置いて、傑さんと廊下の奥に消えた。