第3章 求めたのはたったひとつ
愛しい姿を見つけて、迷うことなく、足は進んでいく。
そっと、袖を掴んだ。
「悟くん…」
「あ?……楓か
久しぶり」
顔だけを振り向かせた悟くんは――笑ってくれなかった。
一度も里帰りをしなかった彼に、1年ぶりに会えたのに……
会いたかったのは私だけ。
「悟、誰だい?
こんにちは、私は夏油傑だよ」
柔らかい笑顔を浮かべる、前髪……
悟くんと一緒にいた人。
「五条楓です
夏油さん、こんにちは」
「妹」
「あぁ、君が……
悟からよく聞いてるよ
"可愛いから絶対手を出すな"って」
悟くんを見上げた。
悟くんは、なんてことない…涼しい顔をしていた。
私だけが意識をして、勝手に喜んで……
その先を求めていた。
「夏油さんかっこいいから…
仲良くなったら、手出していいですよ」
「は?」
「おや、いいのかい?」
こんな私を悟くんはどうするのだろう。
止めて欲しい…。