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禪院家の落ちこぼれシリーズ 【R18】

第6章 正義感の強い彼は彼女を護りたい 【名探偵コナン 降谷零】


清潔な病室に、夕暮れ時のオレンジ色の光が差し込んでいた。
数日の休息と栄養のある食事のおかげで、彼女の頬にはわずかに赤みが戻っていた。
そこへ、聞き慣れた足音が廊下に響いた。

「顔色は悪くないようだな。少しは落ち着いたか」

ドアを開けて入ってきた降谷は、手に小さな紙袋を持っていた。
中には彼女が食べやすいようにと選ばれたゼリーが入っていた。

「……降谷さん。はい、看護師さんも皆さん優しくて」

彼女は俯き、膝の上で細い指を絡ませた。
降谷はその向かいに座り、静かに彼女の言葉を待った。

「私のいたところ……あの一族にとって、女はただの『産む機械』でした。家柄や、生まれ持った才能がすべてで。私には……彼らが望むような価値がなくて…」

降谷の瞳が、スッと鋭さを増した。

「……それが、あの傷の原因だったのか」

「直哉さん……一族の次期当主の方は、私を玩具のように扱っいました。泣けばもっと酷くなる。毎日が、暗い穴の底にいるみたいで……」

彼女は異世界のことも、「呪術」という言葉も伏せた。
けれど、語られる「禪院家」という場所の異常性は、降谷に十分すぎるほどの衝撃を与えていた。

「……信じがたい話だな。現代の日本で、そんな封建的な隔離集団が存在しているとは。……君が戸籍にないのも、その一族が隠蔽していたということだったんだな」

降谷は立ち上がり、彼女の頭にそっと手を置いた。
それは、直哉の荒々しい触れ方とは正反対の、羽毛のように優しい手つきだった。

「もういい。話してくれてありがとう。……君を、そんな地獄には二度と戻さない」


退院の日、降谷の車に揺られて到着したのは、都内にあるごく普通のマンションだった。

「しばらくは僕の管理下にある、このセーフハウスで過ごしてもらう。身元がはっきりするまで、君を外に出すわけにはいかないからな」
「……ご迷惑じゃありませんか」
「僕が言い出したことだ。気にするな」

降谷が鍵を開けて中へ促すと、玄関の奥から元気な足音が聞こえてきた。

「ワンッ! ワンッ!」
「あ……」

彼女の足元に駆け寄ってきたのは、真っ白でふわふわした毛並みの、一匹の犬だった。 

「ハロ! 駄目だ、驚かせるな」

降谷が嗜めると、ハロと呼ばれた犬は首を傾げ、丸い瞳でじっと彼女を見上げた。
愛嬌の塊のような存在だった。

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