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禪院家の落ちこぼれシリーズ 【R18】

第6章 正義感の強い彼は彼女を護りたい 【名探偵コナン 降谷零】


禪院家という「地獄」から、光に導かれて辿り着いた先は、コンクリートの匂いが立ち込める雨の夜だった。

「……降谷さん、あそこに誰か倒れています!」
「待て、風見。……これは……」

降谷零は、鋭い視線で周囲を警戒しながら彼女のもとへ駆け寄った。
ライトに照らされたのは、後ろでに縛られた血の気のない顔と、乱れた衣服。
細い太ももを伝い、裾から溢れ出しているのは、あまりに生々しい男の痕跡だった。

「ひどいな……。風見、すぐに救急車を。それと、一般の病院ではなく警察病院の手配を急げ。事件性が高すぎる」
「了解しました!」

降谷は自分のジャケットを脱ぐと、震える彼女の体を包み込んだ。
彼女はうっすらと目を開け、降谷の瞳を捉える。

「……なお、や……さん……?」

怯えきったその声に、降谷の眉がわずかに寄る。

「……人違いだ。安心しろ、君を傷つける者はここにはいない」



数日後。
清潔なシーツの匂いで目が覚めた彼女の前に、一人の男が座っていた。
仕事帰りなのか、少し疲れた表情を浮かべた降谷だった。

「目が覚めたか」
「……ここは?」
「病院だ。君は路地裏で倒れていたんだよ。覚えているか?」

彼女は小さく首を振った。

「君の身元を調べさせてもらったが、戸籍はおろか、指紋すらデータベースにない。……それに、その体の傷についても、聞かなければならないことが山ほどある」

降谷の声は静かだが、拒絶を許さない重みがあった。
彼女は震える指先でシーツを握りしめる。

「……言っても、きっと信じてもらえません。私は……ただの、出来損ないの、道具ですから」
「道具?」

降谷は椅子を引き寄せ、彼女の視線に合わせて腰を下ろした。

「いいか、よく聞け。ここでは誰も君を道具とは呼ばない。……君をあんな目に遭わせた奴が誰であれ、僕はそいつを許さない。日本の警察を、僕を、甘く見ないことだ」

あまりに真っ直ぐな言葉に、彼女の口から小さな笑みが漏れた。
直哉のような傲慢さではなく、正義という名の熱を帯びた瞳。

「……変な人。そんなこと言ってくれる人、初めて会いました」
「変な人、か。助けて早々に手厳しいな」

降谷は苦笑しながらも、少しだけ表情を和らげた。

「君が話したくなるまで待とう。だが、一つだけ約束してくれ。……一人で消えようとはするな」
「…………はい」


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