第5章 半冷半燃の少年は彼女を温めたい 【ヒロアカ 轟焦凍】
買い物を終え、一行は一息つくためにパンケーキが有名なカフェに入った。
運ばれてきた甘い香りに包まれながら、女子たちの目は鋭く光る。
「……さて、いのりちゃん。ここからは女子会(尋問)タイムよ!」
芦戸が身を乗り出し、フォークを片手に切り出した。
「単刀直入に聞くけど……轟とは、どこまで行ったの!?」
「げほっ……! ど、どこまで……?」
「そうよ! キスは!? …。もしかしてもう、最後まで!?」
いのりはあわあわと手を振りながら、必死に記憶を辿った。
「そ、そんな、破廉恥な……。轟さんはいつも、私の頭を撫でてくれたり、手を繋いでくれたり……あっ、でも、この前」
「この前、何!?どうしたの!?」
「………轟さんの腕の中で、寝てしまって……起きた時、轟さんがすごく近くで私を見ていて『寝顔が可愛くて、起こせなかった』って…」
「……それで!? その後は!?」
「……『お前の体温が心地よくて、俺も眠くなってしまった。…もう少し、このままでいいか』って、首筋に、顔を埋められて……」
「「「…………!!!」」」
女子たちが一斉にテーブルに突っ伏した。
「轟ちゃん、天然の皮を被った超絶タラシじゃない……」
「無自覚でそれをやるなんて、破壊力が凄まじいですわ……」
「あ、あの……やっぱり、轟さんは私のことを『妹』のように思っているのでしょうか……?」
不安げに首を傾げるいのりに、芦戸がガバッと顔を上げて叫んだ。
「いい!? いのりちゃん。妹の首筋に顔を埋める男なんて、この世には存在しないの! それはもう、完全に『オンナ』として見てる証拠なんだから!」
「……そうなの、でしょうか。……轟さんは、私を見ると、時々すごく切なそうな、熱いような目をするんです」
「それよ! その熱を爆発させるのが、今日買った勝負下着の役目なんだから!」
いのりは、鞄の中の紙袋をぎゅっと抱きしめた。
直哉のいた地獄では、肌を見せることは屈辱でしかなかった。
けれど、大好きな轟さんのために「可愛くなりたい」と願う今の気持ちは、とても温かくて誇らしかった。
「……私、頑張ります。轟さんに、ちゃんと……女の子として、見てもらえるように」
真っ直ぐな瞳で決意を語るいのりを、女子たちは「全力で応援するわ!」と温かなエールで包み込むのだった。
