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禪院家の落ちこぼれシリーズ 【R18】

第5章 半冷半燃の少年は彼女を温めたい 【ヒロアカ 轟焦凍】


二人は、出店が立ち並ぶ模擬店街を歩いた。
どこへ行っても、轟の姿は注目の的だったが、彼は周りの視線など気にする様子もなく、ただ隣を歩く彼女の歩幅に合わせてゆっくりと歩く。

「……轟さん、あれ。林檎が飴で固められています」
「林檎飴か。……食うか?」
「…はい!」

轟が買い求めた真っ赤な林檎飴を、彼女は大切そうに両手で持つ。
一口かじると、ぱりりと甘い音が響いた。

「……甘いです。……すごく、幸せな味」
「……そうか」

幸せそうに頬を緩める彼女を見て、轟の胸の奥が熱くなる。

「……っ、轟、さん……?」
「……離したくない」

彼女の腕を掴んだ轟の声は少し掠れていた。
彼は彼女を人混みから少し外れた、校舎の影へと促す。

「……お前がここに来てから、ずっと考えてた。俺がお前を拾った時、お前はボロボロで……俺以外の男を、怖がってた」

轟は彼女の手を、壊れ物を扱うように両手で包み込む。

「でも今は、みんなと笑ってる。……それが嬉しい反面、俺だけを見てほしいって思うのは、……傲慢か?」
「……そんなこと、ありません。私……轟さんがいなかったら、あの日、死んでいました。……今も、あなたに触れられると、ここが……」

彼女は自分の胸のあたりをぎゅっと押さえた。

「嫌な『熱さ』じゃないんです。……直哉さんにされていた時は、ただ壊されるのが怖かった。でも、轟さんの熱は、……もっとずっと、優しくて……溶けてしまいそうで…」

その告白に、轟の理性が限界を迎えた。
彼は彼女の腰を引き寄せ、上着の中に包み込むように抱きしめる。

「……もう、誰にもお前を汚させねえ。……お前の体も、心も……全部、俺が守る。……俺だけが、お前を愛していいか」
「……はい。……私、轟さんの……『隣』にいたいです」

彼女が震える手で轟の背中に腕を回すと、轟は愛おしさに耐えかねたように、彼女の髪に深く顔を埋めた。
秋の風に乗って届く甘い香りと、重なる二人の鼓動。
地獄から逃げ出した少女は、この優しいヒーローの腕の中で、ようやく本当の「自分」として愛されることを知った。
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