第5章 半冷半燃の少年は彼女を温めたい 【ヒロアカ 轟焦凍】
「お嬢さん。信じがたい話だが……君は、我々の住むこの日本とは、全く別の理で動く場所から来た可能性がある」
「別の……理…?」
「そうだ。ここには君を縛り付ける『禪院家』も、『直哉』という男も恐らく存在しない。そして、何より――」
塚内は優しく言葉を継いだ。
「君を『道具』として扱うことを、この世界の法律も、我々警察も、そして……隣にいる彼のような『ヒーロー』も、絶対に許さない」
彼女は信じられないものを見るように、塚内と轟を交互に見た。
「……もう、 直哉さんに、犯されない…?」
「ああ。絶対、そいつには触らせねえ」
轟の断言に、彼女は初めて、子供のように声を上げて泣き伏した。
「……施設、ですか」
その後、身寄りのない彼女の引き取り先の話になった。
塚内の言葉に、彼女の指先が目に見えて震えた。
施設という言葉が、彼女のいた世界での「懲罰房」や、あるいはもっと残酷な「隔離場所」を連想させたのかもしれない。
彼女は言葉にならない恐怖に顔を青ざめ、隣に座る轟の服の裾を、ちぎれんばかりの力で掴んだ。
「……っ、嫌、……轟さん、行かないで……。また、知らないところに連れて行かれて……あんなこと、されるの……?」
その悲痛な訴えと、縋るような瞳。
轟は、自分の胸の奥が焼けるように熱くなるのを感じた。
「……塚内さん。施設じゃなきゃダメなのか」
「彼女には身分証も戸籍もない。まずは公的な保護下におくのが筋なんだ、轟くん」
「……この状態の彼女を、また別の『知らない大人』に預けるのは、今の彼女には酷すぎる。……俺が、雄英の寮で面倒を見るのは無理か?」
その突拍子もない提案に、塚内だけでなく、廊下で控えていた三茶も驚きで顔を出した。
轟は迷わず、担任である相澤消太へ連絡を入れた。