禪院家の落ちこぼれシリーズ 【R18】クロスオーバー
第11章 彼は彼女の心を救いたい 【ONE PIECE マルコ】
マルコは沈黙した。
背中に伝わる彼女の震えと、真っ直ぐな想い。
彼はゆっくりと向き直ると、彼女の肩を掴み、その潤んだ瞳を覗き込んだ。
「……頑固だね、あんたも。……本当に、後悔してねェんだな?」
「はい。……大好きです、マルコさん」
その言葉に、マルコの硬かった表情がようやく解けた。
彼は降参したようにふっと笑い、彼女の頭を優しく撫でた。
「……参ったね。……分かったよい。もう謝らねェ。……その代わり、これからもあんたの面倒は、俺が一生責任持って見てやるからな」
その言葉に、いのりは花が咲いたような笑顔を見せた。
サッチを失った悲しみが消えたわけではない。
けれど、彼女の心に灯った新しい光は、もう簡単には消えそうになかった。
あれから、医務室の空気は、明らかに以前とは違っていた。
甲板でも、マルコの視線は常にいのりを追い、いのりもまた、マルコが通りかかるたびに頬を林檎のように赤らめる。
そんな二人の変化を、海賊たちが放っておくはずがなかった。
「……マルコさん、いつもいのりを目で追ってません?」
ニヤニヤと笑いながら、一番隊の隊員が冷やかす。
「お、おい! 滅多なこと言うんじゃねェよい」
「隠したって無駄だぜ! 隊長、最近鼻歌まで歌ってんだからな!」
野次馬が集まり、厨房から出てきたイゾウやビスタまでもが面白そうに輪に加わる。
中心に立たされたいのりは、顔から火が出そうなほど真っ赤になり、俯いて指先をいじっていた。
「あ、あの……それは……その……っ」
「……あー、もういい、うるせェよい!」
観念したように息を吐いたマルコが、一歩前へ出た。
そして、逃げようとしていたいのりを背後からガバッと腕の中に閉じ込め、その細い肩を力強く抱き寄せた。
「そうだよ、この子は俺が一生面倒見ることに決めたんだ。手ェ出すんじゃねェぞ、てめェら!」
「「「うおおおおおーーーっ!!!」」」
甲板が割れんばかりの歓声に包まれる。
「マルコ、さん……! みんなが見てます……っ」
「いいんだよい。隠すことじゃねェだろ?」