禪院家の落ちこぼれシリーズ 【R18】クロスオーバー
第11章 彼は彼女の心を救いたい 【ONE PIECE マルコ】
マルコはそう言って、腕の中のいのりの耳元に、優しく、けれど独占欲を隠さない熱を込めて囁いた。
その堂々とした「宣言」に、イゾウが扇子で口元を隠しながら笑う。
「ふふ、……おめでとう、いのり。いい男を捕まえたな」
「ビスタ、酒だ! 祝いの酒を持ってこい!」
賑やかすぎる家族の祝福に、いのりの目には嬉し涙が浮かぶ。
すると、喧騒の奥から地響きのような笑い声が届いた。
「グララララ……! 賑やかだな、息子ども」
中央の椅子に座る白ひげが、満足げに目を細めて二人を見つめていた。
「オヤジ……」
「マルコよ。……娘を泣かせるようなことがあれば、俺が直々に叩き伏せてやるからな。……いのり、よく笑うようになったな。その笑顔を、大事にするんだぞ」
「……はい! 親父さん、ありがとうございます……っ!」
マルコの大きな腕に包まれながら、いのりは心の底から実感していた。
地獄から逃げ出し、嵐に揉まれ、深い傷を負ったけれど。
今、この場所で、自分は本当の意味で「誰かの特別」になれたのだと。
エースを追った火種を抱えつつも、モビー・ディック号には表面上の平穏が戻っていた。
マルコに愛され、家族に守られ、いのりが少しずつ笑顔を取り戻していた、そんな矢先のことだ。
海を割るような圧倒的な威圧感と共に、一隻の船が横付けされる。
現れたのは「赤髪のシャンクス」
彼が甲板を一歩踏みしめるたび、並の海賊たちが次々と泡を吹いて倒れていった。
「おいおい、相変わらず挨拶代わりの覇気がきつすぎるんじゃねェかよい」
マルコが毒づきながら、隣に立ついのりを庇うように肩を抱く。
いのりは顔色を青くしながらも、その場にしっかりと踏み止まっていた。
彼女の身体からは、無意識のうちに薄暗くも静かな「呪力」が立ち昇り、赤髪の覇気を中和するように彼女を包み込んでいる。
「……ん? 誰だ、その嬢ちゃん。俺の覇気に当てられて立っていられるとは、なかなかの根性じゃねェか」
シャンクスは目を細めた。
一見、か弱く戦闘向きには見えない少女が、奇妙な力——覇気とは異なる異質の力を纏って自分を見据えている。